《ブラジル》盗まれた車を取り返して犯人射殺=自衛主張も実は被害者も犯罪者⁈
9日、サンパウロ市西部ブタンタンで、車を盗んだ犯人を追跡して射殺し、その遺体をピックアップトラックの後部に乗せて搬送中だった5人組の男に対し、裁判所は翌10日に予防拘禁を命じた。近隣のジャガレー区で犯人2人は車を盗んでいたが、5人組の一人である車両所有者は追跡装置を使用して犯人の居場所を突き止め、射殺した。5人組が司法に頼らず犯罪者に私的に罰を下す〝ジュスチセイロ(懲罰執行者)〟なのか、それとも彼らも犯罪者仲間ではないかとの疑惑が深まっている。 というのも、防犯カメラ映像と5人組の供述に食い違いがあり、事件は殺人、車両窃盗、虚偽の申告、殺人未遂として捜査されている。逮捕された5人のうち2人は合法的に銃を所持できる許可(CAC登録)を持っていたことが、10日付のメトロポレスなどで報じられた。 警察が映像を分析したところ、遺体の男性を含む2人の強盗犯は盗難車(T―Cross)を使って、さらに別の強盗を行っている様子が映っていた。この強盗犯らは、配達員のワゴン車を強奪しようとしており、その際に追跡していたグループの1人が強盗犯らに向かって銃を発砲。強盗犯のうち1人は逃げたが、もう1人は銃撃を受けて死亡した。 5人組が「強盗犯に襲われたため反撃した」と説明しているが、防犯カメラには5人組が、強盗犯たちが荷物を盗んでいる最中に銃撃を加えた様子が映っていた。つまり、5人組は自衛を主張したが、実際には強盗犯たちに向かって先に発砲していたという証拠が見つかった。 さらに警察は、グループが遺体を積み込んだにもかかわらず、病院に搬送せずに現場から逃走していた点を不審とし、捜査を続けている。 さらにそれ以前、盗難車が他の強盗事件に使われていたことも確認された。これにより、5人組の行動が単なる車両取返しにとどまらず、複数の犯罪に関連していた可能性が浮上しており、事件の全貌解明には時間がかかると見込まれている。 5人組のうち2人はCAC登録を持っていたが、発砲した人物は同登録を持っておらず、合法的に銃を扱う者が関与したことも捜査の重要な焦点となっている。これらの情報は事件の深刻さを増す要因となり、今後の法的措置に影響を与える可能性がある。