【インターハイ2024】前年王者の日本航空を『仕留め損ねた』東海大学付属諏訪、渡邊大翔「勝たなければいけない試合でした」
絶対的エース、ジェラマイアのファウルトラブルで苦戦
前年王者の日本航空は、インターハイ初戦で東海大学付属諏訪と対戦。3年生となった絶対的なエースのオルワペルミ・ジェラマイアがファウルトラブルに陥って大苦戦を強いられるも、クラッチタイムに粘る相手を振り切って78-69の勝利を収めた。 山本裕ヘッドコーチが「自分で何とかしよう、という気持ちが強すぎて上手くいかなかった」と表現する悪癖は、ジェラマイアだけでなく主力選手の多くに出てしまった。ジェラマイアはユーロステップでゴール下を攻めた際のオフェンスファウルが個人2つ目で、第1クォーターからベンチに退くことになり、東海大学付属諏訪のペースに持ち込まれる。 東海大学付属諏訪は昨年から司令塔にしてエースと大車輪の活躍を見せる渡邊大翔のチーム。渡邊は自らのアタックからズレを作り、空いた味方を見逃さずにパスを送ってオフェンスを円滑に動かしていく。その渡邊はジェラマイアから第2クォーターに個人3つ目、第4クォーター序盤に個人4つ目のファウルを引き出す殊勲の働きを見せる。ただ、ここで大方の予想を覆し、ジェラマイアをベンチに下げた日本航空が攻守に東海大学付属諏訪を圧倒し始めた。 山本ヘッドコーチによれば「相手からするとジェリー(ジェラマイア)がいた方がボールを離さないから守りやすい」とのこと。代わって出たのは1年生センターのジャキテ・ザカリア・モリバで、ジェラマイアほどのフィジカルの強さも爆発力もないが、シンプルにゴール下で身体を張り、スペースを広げてリバウンドに飛び込む。このモリバの働きが日本航空のバスケを整理し、他の選手から「自分で何とかしよう」の意識がなくなりボールをシェアするように。そうなると要所で大道一歩にチャンスが生まれて3ポイントシュートが決まり、日本航空が試合をひっくり返した。 攻めのリズムが守備にも良い効果をもたらし、序盤は渡邊のプレーメークに翻弄されていたディフェンスも簡単にズレを作らせなくなる。ジェラマイアが4つ目のファウルを犯してからのラスト8分、エースをコートに戻すことなくクラッチタイムを冷静沈着なチームプレーで乗り切った日本航空が、苦しみながらも初戦を制した。 ジェラマイアのプレータイムはわずか22分。立ち上がりこそ強烈なダンクやブロックショットで会場を沸かせたが、彼自身は不完全燃焼に終わった。それでもチームとして得たものは大きい初戦の辛勝だった。 悔しいのは東海大学付属諏訪だ。残り5分で一度は逆転、その後もチャンスはあったものの、勝負どころでミスが出た。23得点を挙げた渡邊は「勝てる試合でした。勝たなければいけない試合でした」と悔しがる。「第3クォーターに自分がボールを持って攻めるシーンが少なくて、相手の脅威になれませんでした。任せてもらっている以上は僕がやらなきゃいけない。チームとしてもずっとモットーとしてきたディフェンスリバウンド、ルーズボールで大事なところで負けてしまいました」 それでも、負けた直後にもかかわらず渡邊は次へと意識を切り替えていた。「負けてしまったものはもう変えられません。個人としてもチームとしてもすべての面でレベルアップして、リバウンドとルーズボール、一人ひとりのスキルの面でも成長して、最後のウインターカップを迎えたいです」