朝日新聞が慰安婦報道をめぐる第三者委の報告書を公表
軍が関与したとする報道について
1992年1月11日付記事について、「朝日新聞が報道するタイミングを調整したかどうかはともかく、首相訪韓の時期を意識し、慰安婦問題が政治課題となるよう企図したことは明らかである」とした。 この記事に対しては、「過去の朝日新聞の記事等と相まって、韓国や日本国内において慰安婦の強制連行に軍が関与していたのではないかというイメージを世論に植え付けたという趣旨の批判もあるが、記事には誤った事実が記載されておらず、記事自体に強制連行の事実が含まれているわけではないから、朝日新聞が本記事によって慰安婦の強制連行に軍 が関与していたという報道をしたかのように評価するのは適切でない」と指摘している。 もっとも、記事中の「『従軍慰安婦』の用語説明メモが不正確である点は、読者の誤解を招くものであった。用語説明メモは、当時は必ずしも慰安婦と挺身隊の区別が明確になされていなかったと解されることを考慮しても、まとめ方として正確性を欠く」と付け加えている。
1997年特集と「強制性」報道について
1997年特集の紙面の核となるのは「強制性」の部分であり、朝日新聞は「『強制』の定義に関して、軍や官憲による狭義の『強制連行』に限定する議論を批判し、だまされて応募したり、慰安所にとどまることを物理的、心理的に強いられていたりした場合も強制があったといえるとしている」という。 そして、「現時点から評価すれば、1997年特集がその時点での慰安婦問題を総括してその後の議論の土台とするという意図のもとに作成されたのであれば、吉田証言に依拠して、徴募の場面において日本軍などが物理的な強制力により直接強制連行をしたといういわゆる『狭義の強制性』があったことを前提に作成された記事について、訂正又は取消しをすべきであったし、必要な謝罪もされるべきであった」と指摘した。 1997年特集は、いわゆる「広義の強制性」論の説明が主となっている。しかし、朝日新聞は当初から一貫して「広義の強制性」を問題としてきたとはいえない、と指摘し、「80年代以降、92年に吉田証言に対する信ぴょう性に疑問が呈されるまで、前記のような意味での『狭義の強制性』を大々的に、かつ率先して報道してきたのは、朝日新聞である。1997年の特集紙面が、『狭義の強制性』を大々的に報じてきたことについて認めることなく、『強制性』について『狭義の強制性』に限定する考え方を他人事のように批判し、河野談話に依拠して『広義の強制性』の存在を強調する論調は、議論のすりかえである」と批判した。