有村昆が2024年の個人的洋画1位を発表「今年はシリアスな作品に良作が多かった」
映画コメンテーターの有村昆が、2024年に公開された「洋画」の中から個人的に面白かったベスト10を発表。後編では5位~1位までの作品についてコメントします。一体、どんな作品がランクインしているのか!?(前後編の後編) 【画像】有村昆が選ぶ2024年洋画ベスト、5位~1位 アリコンが選ぶ 2024年洋画ベスト10 5位『マッドマックス:フュリオサ』 4位『フォールガイ』 3位『シビル・ウォー』 2位『関心領域』 1位『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』 5位は『マッドマックス:フュリオサ』でいきましょう! 前作の『怒りのデス・ロード』と比べると、否定的な意見が多いのも事実ですが、それでもランキングには入ってくる作品だと思います。 今作は、フュリオサという女性が主人公に据えたのが画期的でした。演じたアニャ=テイラー・ジョイもカッコ良かったですね。それに独創的な世界観もさらに進化していて、クリス・ヘムズワースが演じるディメンタス将軍が乗っている、『ベン・ハー』の戦車みたいに3台つなげた改造バイクとか、もう過剰すぎてバカなんですよ。それを本気でやってるというのが素敵だし、圧倒的でしたね。シリーズすべてを手掛けているジョージ・ミラー監督はことしで79歳。それで、あれだけのスピードとバイオレンスが炸裂するパワフルな新作を送り出してくれたというだけでマッドなことだと思います。スクリーンで観る価値のある作品でしたね。 アクション映画というジャンルにおいて外せないのが4位の『フォール・ガイ』です。 本当にアクション愛、スタント愛に溢れた作品でした。監督のデビッド・リーチが、もともとスタントマン出身なので、業界の裏話みたいなネタがたくさん入っているんですよ。そこは同時期に公開されたジャッキー・チェンの『ライド・オン』と被る部分はあるんですけど、裏方であるスタントマンの覚悟とか、ケガをして引退していった仲間たちへのメッセージとが込められてましたね。ブラピとディカプリオが出ていた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』もスタントダブルの世界を描いていたし、話題の邦画『侍タイムスリッパー』も、斬られ役という、いわばスタントマンのような役者のお話でした。こういう映画界の内幕モノが流行っているのかもしれませんね。 それではベスト3の発表です。それぞれ尖ってる部分が違う作品なので、順位付けはけっこう迷いました。 悩んだ末、第3位は『シビルウォー』。 これはA24が社運を賭けたといわれるほど巨額の資金を投じて作った戦争ドラマです。軍隊がウワっと出てくるし、エキストラをどれだけ使ってるのというほどの市民が逃げ惑うし、こんな場所でどうやって撮ったのというくらいリアルな戦闘シーンが続いて、その映像のスケール感に引き込まれました。 これだけ予算をかけた大作だと、大味な映画になっちゃうのかなと思いきや、物語はA24らしいシリアスなドラマでした。 アメリカ国内のリベラルと保守が分断して内戦状態になってしまい、そこをキルスティン・ダンストが演じる報道スタッフが取材をしながら決死の旅を続けていく。あり得ない設定なんですけど、ドキュメンタリーのような雰囲気で進んでいくので、観ている間、ずっと緊張感が持続します。 今回の大統領選挙で改めて思いましたけど、アメリカって大きいし、住んでいるエリアでそれぞれの考え方がぜんぜん違ったりする。だから、こういうことも起こり得るのかなというリアル感もありました。 しかも、この作品が日本公開されるくらいのタイミングで、トランプさんの狙撃未遂事件が起きた。もし、あの時にトランプさんが暗殺されてしまっていたら、アメリカ国内の対立が深まって内戦が起きていたかもしれないですよね。いまリアルタイムで観ておきたい作品だったと思います。