ヨンヒャク4発独占中のカワサキZX-4RRは大型キラーの万能バイクだ!
高張力鋼トレリスフレームのエンジンマウント部に若干の補強を加えただけで、車体の基本設計を共通化できるのは、ZX-25Rを開発した時点から400cc化を視野に入れた車体剛性としていたためだと、筆者は開発チームから聞いています。 F3.50×17/R4.50×17のホイールをはじめ、左右非対称のスイングアームなども共通。前後タイヤはフロント110/70R17→120/70ZR17、リヤ150/60R17→160/60ZR17と、1サイズ太くしています。 DOHC4バルブ4気筒エンジンはZX-25Rではボア・ストロークが50.0mm x31.8mmで排気量を249ccとしているのに対し、ZX-4RRはボアを7mm、ストロークを7.3mm拡大して398ccの排気量を獲得。ギアレシオはZX-25Rと同じです。
ラムエア加圧時49PS/15,500rpmのZX-25Rのハイスペックぶりも目を見張りますが、ZX-4RRでは腰下をそのままに80PS/14,500rpmを発揮。かつて400ccクラスの最高出力は、自主規制値の上限が59PSでしたから、これは驚異的としか言いようがありません。それでいながら車体重量は184→189kgで、わずかに5kgしか増えていないのです。 ZX-25Rではフロントブレーキを310mmシングルディスクとしていますが、ZX-4RRでは290mmダブルディスク仕様に。ラジアルマウント式4ピストンキャリパーは変わりません。
窮屈ではない乗車姿勢
シート高は800mmで、ZX-25Rより15mm高い。写真は身長175cm/体重66kgの筆者がまたがった場合で、足つき性に不安は感じません。
今回は『Ninja ZX-6R』と同時に試乗させていただいたので、比較すると上半身の前傾がゆるやかでツーリングユースにも対応していることがわかります。セパレートハンドルはトップブリッジの下にクランプされていますが、グリップは上方へ持ち上げられています。 スマートフォン接続機能を持つ4.3インチのカラーTFTメーターでは「スポーツ」「ロード」「レイン」「ライダー」、4種のライディングモードを設定でき、さらにラップタイム計測機能を大きく表示した画面「サーキットモード」に切り替えることができます。
普段の街乗りからツーリング、そしてサーキット走行までシーンを選ばず、どんな環境でも不満を感じさせない『Ninja ZX-4RR KRT EDITION』。精密機械のごとく部品点数が多くコストのかかるマルチエンジンを積み、足回りや電子制御など充実した装備を誇りながら価格は118万8000円となっています。
青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)