松平健、17年ぶり復活の『暴れん坊将軍』への思いを語る「ともに歩み、ともに成長してきた代表作」
テレビ朝日ドラマプレミアム『新・暴れん坊将軍』(テレビ朝日系 1月4日(土)午後9時)で主演を務める松平健が囲み取材に応じ、作品への特別な思いを明かした。 【写真】海岸で白馬を駆る吉宗(松平健) 1978年から2003年にかけて放送され、日本のテレビドラマ史に名を刻む大ヒットシリーズとなった『暴れん坊将軍』。シリーズ12作のほか、『最終回スペシャル』(2003年4月)、『春のスペシャル』(2004年3月)、『テレビ朝日開局50周年記念ドラマスペシャル』(2008年12月)を合わせた放送回数は832回で、同じ俳優が演じた単一ドラマとしては大川橋蔵さん主演の『銭形平次』の888回に次ぐ長寿番組となっている。 そんな『暴れん坊将軍』の最新スペシャルは、吉宗の治世となってから二十有余年を経た江戸の町が舞台。オリジナルシリーズでは若き将軍だった吉宗も、いよいよ世継ぎ問題に直面することに。嫡男の家重(なにわ男子・西畑大吾)は病のため右腕と顔に麻痺があり、廃嫡を望む声も少なくない。しかし、新之助として町に出た吉宗はある騒動に遭遇し、洋剣“レイピア”を華麗に操る男と出会う。商家の三男坊・徳長福太郎を名乗る彼こそ、ほかならぬ息子・家重で…。いったい家重に何が起きたのか。やがて吉宗と家重の間に横たわる深く切ない確執が思いもよらぬ波乱を生み、巨大な陰謀が将軍家に襲いかかる。 監督は、「クローズZERO」(2007年)、「一命」(2011年)、「怪物の木こり」(2023年)、「ミッドナイト」(2024年)などを手がけ、日本のみならず世界を魅了している鬼才・三池崇史。 脚本は、2005年『不機嫌なジーン』(フジテレビ系)で第23回向田邦子賞を史上最年少で受賞、連続テレビ小説『あさが来た』(2016年/NHK)で第24回 橋田賞に輝き、『未解決の女』(2018年、2020年/テレビ朝日)や大河ドラマ『青天を衝け』(2021年/NHK)など話題作を次々と手がけてきた大森美香が担当。 キャストには、松平を筆頭に西畑大吾、小澤征悦、藤間爽子、勝村政信、小野武彦、高島礼子、生瀬勝久、そして尾張藩主・徳川宗春を演じるGACKTらが名を連ねる。 <松平健 コメント> ◆オファーを受けたときのお気持ちを教えてください 前々から『暴れん坊将軍』の復活を熱望していたので、「ぜひやりたいです」と即、お返事しました。くしくも今年は芸能生活50周年という節目だったので、皆さんが私をお祝いしてくださっているような気持ちになりましたね。撮影が始まって将軍の扮装をするとまったくブランクを感じず、すんなりと入ることができました。撮影所のスタッフはかなり若返っていて、女性の数も増えていましたが、昔からのなじみのスタッフもいたので大変やりやすかったですね。 ◆「熱望していた」とのことですが、17年間、どんな思いでいらっしゃいましたか? シリーズが終了してからは、さまざまな役柄に挑戦させていただきましたが、一方で青年将軍の爽やかなイメージもどこかでずっと大事にしてきました。あれから17年たち、時代劇がどんどん減って、いわゆる“ラスたち(=ラストの立ち回り)”がある時代劇はほとんど見なくなりましたが、『暴れん坊将軍』は今でも再放送を見るととても面白いので復活できたらいいなと思っていたんです。 実は先日、『暴れん坊将軍』のシリーズ初回をあらためて見てみたのですが、やっぱり面白かったです。私の芝居は少々クサかったかもしれませんが…(笑)。 ◆最近、ポップアップストアができるなど若い世代に『暴れん坊将軍』が受け入れられていますが、どのように受け止められていますか? 『マツケンサンバII』の影響でしょうか…。ビックリはしましたが、若い方が興味を持ってくださって、『暴れん坊将軍』という作品を知ってくださったのでしょう。おそらくその盛り上がりもあって復活が実現したと思うので、とてもありがたいなという思いです。 ◆時代劇が減少の一途をたどる中、時代劇の存続についてはどのようなお気持ちですか? 近年、映画では時代劇が多く公開されているようですが、別の角度からの時代劇が多く、昔ながらの完全懲悪な時代劇はあまりないですよね。私はこの『暴れん坊将軍』は、子供の教育にもいいのではと昔から思っていたんです。悪いことをすると成敗されるので…(笑)。史実に沿った物語も描かれるので勉強にもなるし、今回の復活で若い方々が時代劇を面白いと思ってくれたら、こんなにうれしいことはないですね。 最近、真田広之さんが手がけた『SHOGUN 将軍』が海外で高い評価を受けましたが、世界が日本の時代劇に興味を持ってくれるのは大変喜ばしいこと。もっともっと時代劇が復活したらいいなと思っています。 ◆『暴れん坊将軍』は四半世紀続いたシリーズですが、苦労したこと、うれしかったことを教えてください。 最初は悪役を含めてまわりが全て先輩方なので、気を使いっぱなしでしたね。新人なのに先輩を成敗したり、「頭が高い」なんて一喝しなくてはならなかったりで、恐縮しながら演じていました。カットがかかると、急いで先輩方に椅子を差し出したものです。反対に、一番うれしかったのは初回が完成して試写室で見せていただいたとき。あの感動は今でも忘れられません。 ◆シリーズを通して松平さんが得たものとは…? スタート時は、私も初めて時代劇の主演を務めるため戸惑うことだらけでしたが、吉宗もまた、将軍職に就任したばかりで分からないしきたりも多かった…。『暴れん坊将軍』はまさに、ともに歩み、ともに成長する形で出来上がった作品。その後もさまざまな時代劇に出演させていただきましたが、間違いなく私の代表作ですね。 ◆多くの時代劇に出演されてきた松平さんから見て、『暴れん坊将軍』の魅力とは? まず、将軍と貧乏旗本の三男坊というひとり2役のような設定は、ほかの時代劇にはない大きな魅力ですよね。将軍には品格が必要ですし、所作も気をつけなければいけないことが多く、演じるにあたっては歌舞伎や昔の映画で必死に勉強しました。反対に、新之助として町に出ていくときは現代っぽい感じを出すよう演じ分けてきました。あとは、ラストの立ち回りは痛快そのものだと思います。 ◆『新・暴れん坊将軍』の見どころを教えてください。 今回の新作は、“その後の吉宗”というイメージです。初めて物語に吉宗の息子たちが登場し、今までにない“父親としての顔”も見せています。親子の確執や復讐劇が描かれ、将軍を狙う者も現れるなどさまざまな要素が盛り込まれ、とても見応えがあります。オープニングから立ち回りがあり、最後にまた大立ち回りがあるのも見どころです。 ◆これまで『暴れん坊将軍』を見たことのない若い世代に楽しんでもらいたいところは? 将軍・吉宗と、新之助として町に出たときの違いの面白さを楽しんでほしいですね。また、思いやりや人情など、日本人のよさもふんだんに描かれています。あとは、やっぱり立ち回りですね。最後はスッキリしていただけると思うので、若い世代の皆さんにも大いに共感してもらいたいです。 ◆昔からの『暴れん坊将軍』ファンに感じてもらいたいことは? それはもう、「帰って来た!」という懐かしさを感じていただきたいですね。白馬で海岸を駆けるオープニングは『暴れん坊将軍』の象徴ですが、今回新たに撮影しました。馬に乗って海岸を走るのは20年ぶりだったのでちょっと緊張しましたが、走りだしたらとても爽快でした。 そんな懐かしさの中に、西畑大吾さんをはじめとする若いキャストの皆さんが新風を吹き込んでくれているので必ずや楽しめると思います。 ◆2025年の目標を教えてください。 シンプルに“健康”ですね。また1年、健康で過ごせるように。どんな仕事もこなせるような身体でいたいので殺陣も乗馬もこなせるように体幹を鍛え続けていきます。 <あらすじ> 八代将軍・徳川吉宗(松平健)の治世となって二十有余年。享保の大飢饉をきっかけに不況に苦しむ民を救うため、吉宗は日々対策に追われていた。また、還暦を控えた吉宗は後継問題にも頭を悩ませていた。吉宗には3人の息子がいたが、嫡男の家重(西畑大吾)は病により、右腕が動かず、顔にもこわばりがあってうまく言葉を話すことができない。それゆえ、城内では次男の宗武(駒木根葵汰)こそ次期将軍にふさわしいと推す声が少なからず上がっていた。 そんな中、久しぶりに貧乏旗本の三男坊“徳田新之助”として町に出た吉宗は、材木商の娘・おきぬ(藤田爽子)が人買いにからまれているところに遭遇。すぐさま助けに入ったところ、洋剣“レイピア”を左腕で華麗に操る謎の男が助太刀に現れる。吉宗は、べらんめえ口調で商家の三男坊“徳長福太郎”を名乗る彼の剣さばきに目を見張るが、その福太郎が自身の長男・家重であることに気づく。右腕と顔に麻痺がある家重が洋剣を使いこなし、流ちょうに江戸言葉を話すとは、いったい家重に何が起きたのか。吉宗は驚きを隠せず…。 その頃、宗武には旗本・本間要治郎(小澤征悦)が接近していた。本間は尾張藩主・徳川宗春(GACKT)が将軍の座を狙い、公儀に弓を引くやもしれないという噂を宗武に吹き込む。実は、吉宗に恨みを抱く本間は、恐ろしくも壮大な野望にとりつかれていて…。 時を同じくして、江戸の町で行方知れずだった若い女性が相次いで死体となって見つかる事件が起こる。彼女たちの死の背後に何かが隠れていると感じた吉宗は、事件を調べ始めるが…。
TV LIFE web