マイナ保険証を解除させないために手続きを煩雑化? 自治体も「もう少しはっきりしてほしい」と苦言
「アナログへ逆戻り」
厚労省は今年2月、解除申請受け付けの開始について、めどを「10月ごろ」とするなどと関係先に通知。そして、 「10月9日、厚労省は『マイナ保険証の利用登録解除の運用について』という事務連絡を全国の自治体や健康保険組合などに一斉通知しました。それによれば解除希望者は、加入する医療保険者などに申請し、解除申請書へ記入した上で『解除予定日』の説明を受けることになっています」(前出のデスク) というのだが、これまで散々「医療DX」の名のもと電子認証の安全性をうたっておきながら、一方で“紙”での申請を求めるのだから不可思議と言わざるを得ない。 「そもそもマイナ保険証の登録時は紙の申請書は不要、そして基本的に申請した日から利用が可能となります。政府はこの手続きの簡便さを強調してきましたが、解除となると一転、アナログへ逆戻りというわけです。実は政府は、解除申請に関する具体的な運用については自治体や各保険者に“丸投げ”しています。独自の努力によってマイナポータルでの解除申請を受け付ける自治体もありますが、大半は“紙”でのやり取りとならざるを得ません」(同)
登録解除を食い止めたい国の思惑
しかも解除が実現するまで1カ月以上を要するというから、手続きを煩雑にして登録解除を食い止めたい国の思惑が、透けて見えるのだ。 実際に、中小企業で働く従業員やその家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)に尋ねると、 「すでに希望者への解除申請書の郵送と、その返送が始まっております。申請は月締めとなっており、10月中に処理した件が国のシステムに反映され、解除完了となるのは12月上旬になります」(企画グループ) とのこと。また申請受け付けの“初日”となった10月28日の様子について、マイナカード保有率72.9%(9月末時点)の名古屋市の担当者が言うには、 「当日は60~70歳代の方などが来訪され、市では18件の解除申請を受け付けました。理由としては『紙の保険証を使っているので』と口頭で仰った方や、制度に対する不満がおありの方もいたと聞いています」(保険年金課)