福岡城に「天守閣」はあった? なかった? 議論を呼ぶ中「幻の天守閣」出現
コロカルニュース
■夜桜とともに浮かび上がる「幻の天守閣」 日本各地の城跡では、季節のイベントや記念日などにあわせてライトアップを行っているところも多いですよね。福岡市の中心地・天神にほど近い〈福岡城〉でも、今年初めて「天守閣のライトアップ」が計画されています。 【写真で見る】天守台に仮設の天守閣を設置。日時によって、色や光り方を変える演出も予定。 日本の城に詳しい人、福岡城を訪れたことがある人なら「おや?」と思うのではないでしょうか。そう、福岡城の天守台には「天守閣がない」のです。 そんな福岡城にこの春、「幻の天守閣」が出現します。 ■福岡城に「天守閣」はあったのか? 関ヶ原の戦いで戦功をあげ、筑前国ほぼ一国を与えられた黒田長政。福岡藩初代藩主となった黒田氏によって、1601年から7年の歳月をかけて築城された福岡城は、約12万4千坪という広さを誇ります。 日本のお城をイメージするときに思い浮かべるのは、「白壁と瓦屋根をもつ天守閣」ではないでしょうか。しかし現在、福岡城の天守台に天守閣のすがたはありません。 これまで、福岡城を描いた絵図『福博惣絵図』(1646)などの史料から黒田官兵衛・長政は「天守閣を建てなかった」と考えられてきました。それが近年、福岡城に天守閣があったことをうかがわせる文書が発見されたことにより、その存否についての議論が再び注目を集めているのです。 天守閣が「あったけどなくなった」城も、「元からなかった」城もあるなかで、「あったかなかったかさえわからない」福岡城の天守閣。築城当時の史料がほとんど残っておらず、今もなお謎に包まれています。 春の夜空に浮かび上がる幻の天守閣を眺めながら、その歴史に思いを馳せてもらいたい。そんな思いから生まれたのが、「福岡城 幻の天守閣ライトアップ」なのです。 ライトアップは2024年3月下旬、〈福岡城さくらまつり〉の開会に合わせてスタート。天守台には、仮設の天守閣が設置されます。(ライトアップ期間および仮設工事期間中、天守台は立ち入り禁止になります)日時や時間帯によって、色や光り方を変える演出も予定されているそう。屋根や破風、窓のかたちを強調したアウトラインにLEDライトを設置、本丸の桜並木の上に「幻の天守閣」が浮かび上がります。 天守閣ライトアップのプロジェクトを運営する、福岡市 地域観光推進課 課長・小柳さんは、こう話します。「福岡城は城の規模としても大きく、築城当時の趣を残す櫓(やぐら)や壮大な石垣もあります。今回のライトアップをきっかけに福岡城に足を運び、その歴史に興味を持ってもらえたら、と思っています」 天守閣ライトアップに使われている資材は、再利用できるのだそう。「今年初の試みなのでまだ確定はしていませんが、評判が良ければ来年も同じ時期にライトアップを開催したいと考えています」と小柳さん。天守台のある本丸の桜園は、福岡城さくらまつりの期間中は18時から22時まで、有料のライトアップエリアとして公開されます。 〈福岡城さくらまつり〉の開催期間は3月下旬から4月上旬の間の10日間。屋台やキッチンカーが集まる飲食エリアは11時から22時までオープンしているので、お花見を楽しみながら、天守閣のライトアップを待つのもいいですね。 一方、天守閣ライトアップの点灯期間は2024年5月31日(金)まで。桜の季節が終わっても、しばらくは「幻の天守閣」を眺めることができますよ。