【ハイライト動画あり】惹きつける7トライで快勝。日本代表、サモア代表を振り回し、攻め切る
35-13とリードを広げた先のトライ(後半6分)も効果的だったが、試合の流れの中で大きかったのは前半終了間際のトライだったか。 21点を先行した後、13点を返されて得点差は縮まっていた。 それを28-13とした。
このトライには、現在の日本代表が掲げる超速と、日本ラグビーの巧みさが散りばめられていた。
トライスコアラーはFB李。左ラインアウトから始まった攻撃を、最終的に6フェーズ目で左中間に攻め切った。 灼熱の中、疲れも出る時間帯。しかし、果敢にボールを動かした。
CTBライリーをタテに走らせてクラッシュした後、順目に大きく展開して右サイドへ。そこからの振り戻しのアタックでFWのボールキャリアーが何人も前へ出た。 一人ひとりが持ち味を出す。パワフルに出る者。ステップを踏んで前へ出る者。そして、すべてのブレイクダウンの質が高いから相手防御が減っていった。
日本の技を出たのはラストパスだ。SO立川は、ためを作った後、柔らかな軌道で李に放った。 人数で大きく上回っていたから、相手はインターセプトを狙っていたかもしれない。あるいは、苦し紛れの詰めのディフェンスか。しかし、僅かな間(ま)が効いて、ディフェンダーの足は止まった。そして、その頭上を楕円球が越えていった。
試合後のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは満面に笑みを浮かべていた。「チームをステップアップさせる試合だった」と評価し、特に「風上の前半、よくゲームをコントロールした」と愛でた。
カナダ、アメリカと、実力的に戦いやすい相手との対戦が続き、そこで成功体験を得てこの試合を迎えられたことも大きかったように思う。 9月21日(土)の決勝の相手、フィジーは強敵も、サモア戦でさらに高めた自分たちのスタイルと、体感したハードヒットが必ず生きる。
次戦を楽しみに思わせる80分だった。
田村一博