AKB48卒業生のリアルな悩み 田野優花が探すもの
ファンの存在の大きさを感じた
グループから離れてこの約一年間で、確認できたことがある。 「やっぱり私は、歌って踊るのが好きだなって。AKB48を卒業して、それが急に日常からなくなった喪失感が大きいですね。でもこれからは役者として、歌って踊りたい。だからミュージカルなんです。『レント』は、私のまわりに出ている人が多くて、そこから気になり始めたんですけど、見てすごく泣いて。いい作品を観るとやっぱ出たいって思っちゃうのが役者じゃないですか。そこに立ちたいっていう気持ちが大きくなるほど、どんどん焦りも感じる。まわりからは焦ることはないよ、って言われるんですけど」 写真展会場では、ファンからも声をかけられた。 「久しぶりに何も考えずただただ楽しいだけの期間でした。舞台がきっかけで写真展に来た人から、『田野ちゃんにこの作品出て欲しい』『だれだれとまた共演してほしい』とか言われて嬉しいけど、悔しくもなりました。そこに立てるっていう明確な自信がまだないから。でも、よりファンの人の存在の大きさを感じました。私のファンの方々って、親戚みたいな感じで。そのぐらいの近さ、安心感で。癒されました」
オフがあるより好きなことに没頭できるのは幸せ
年が明けると1月18日からは生演奏ミュージカル「信長の野望-炎舞-」の舞台に立つ。 「年末年始はずっと稽古です。仕事、すごく好きなんですけど、やっぱり根本的に楽しんで仕事をやるのがベストだと思うんです。きついこととかも楽しんで。でもそれがいまあまりできてない。理想ばかりふくらんで。でも、オフがあるよりも、自分が好きなことに没頭できるのは幸せです」
来年は自分自身を変えて行く年にしたいという。 「目指しているところにちょっとでも近づきたい。いい意味で、遠い存在になりたい。ファンの人と遠くなりたいという意味じゃないんです。ちょっと遠くなったなーぐらいのとこに行きたい。それでも本当は遠くにはならないし、私のファンの方々ならきっと喜んでくれると思うんです。私がやりたいこともわかってくれているし、そういう作品に出てる私を見たいと思ってくれているし、でも現状がまだぜんぜん追いついていないのもファンの皆さんはわかっている……。来年は、変わりたいです」 AKB48の活動を通してかけがえのないファンを得た田野は、いまファンとともにちょっと遠い場所を目指している。 (取材・文・撮影:志和浩司)