駅前再開発への期待大きく 各地で上昇 回復基調 静岡県内路線価
1日公表された静岡県内13税務署の最高路線価(1月1日時点)は、社会経済活動の正常化に伴う人流増加により各地で上昇、回復基調が強まった。JR静岡駅、三島駅など再開発事業が進むエリアでは市街地の将来性に対する期待感も高い。新型コロナウイルス禍で広がったテレワークから出社勤務に戻す企業が多く、首都圏へのアクセス良好な本県はオフィス需要も堅調に伸びている。 JR静岡駅北側の紺屋町・御幸町地区では、2029年の完成を見据えた市街地再開発事業が進む。葵タワーに並ぶ地上110メートルの高層ビルを建設し、マンションのほか低層階にオフィス、店舗を構えて街中のにぎわいを生み出す。15年の準備組合設立から9年、6月の都市計画決定を経て年内の本組合設立などに向けた動きが加速している。 35年連続で県内最高路線価の同地区は今年、コロナ禍の下落から4年ぶりに0・9%の上昇に転じた。再開発準備組合の金井宣雄事務局長は「平日でも人流が増えた。県外から来た人も驚くほど」と街中の印象を語る一方、「昔はもっとすごかった。ポテンシャルはまだある」。現時点で270億円の総事業費を見込む再開発事業は工事費の高騰、工事の長期化も懸念されるが、「既に法人、個人から多くの問い合わせを受けている。地元の期待も大きい」と強調する。 再開発事業でマンションや医療施設が入る高層ビルの建設が始まったJR三島駅南口は、前年に続き2%前後の上昇。交通利便性が魅力の駅前は県外からも注目を集め、税務署別の最高路線価は初めてJR沼津駅前を上回った。JR富士駅も、北口で店舗や住宅などを備えた再開発ビルの建設計画が進む。前年の4・2%下降から持ち直し、今回は横ばいとなった。 県内2位のJR浜松駅北口は1・0%の上昇。日本不動産研究所による4月のオフィス市況調査ではプラス31・6と、顕著な改善傾向を示す。上昇率トップの熱海駅前は社会経済活動の正常化で観光客が増加し、周辺エリアも含めてにぎわいが広がっている。
静岡新聞社