『相棒』史上最高の神回は? 冠城亘(反町隆史)編の名作(4)超面白い…他の歴代相棒にはない魅力とは?
変人だが腕が立つ刑事の杉下右京と、その相棒が事件を解決していくドラマ『相棒』。シリーズは2000年から2024年現在まで、約400話のテレビシリーズを始め、様々なコンテンツで親しまれている。今回は4代目相棒・冠城亘(反町隆史)編の中でも伝説的なエピソードをセレクト。その面白さの真髄に迫る。第4回。(文・Naoki)
シーズン17 バクハン(第4話)
本作は“冠城亘の個性”が最大限に発揮されている。 特命係は角田の依頼で裏カジノの摘発に協力する。無事に摘発は成功するが、右京はその過程で賭博担当の源馬課長が反社組織と裏取引をしているのではと疑念を抱き、角田や冠城の制止も聞かず捜査を開始する。 源馬は家族を殺した“武輝会”を潰すことが目的で、協力者を通し組織に裏金を流し、動きが活発化したタイミングで一網打尽にしようとしていたのである。しかし右京の告発で源馬は懲戒免職となる。源馬がどれ程の覚悟で組織を潰そうとしたかを知っている角田は「必要悪もある」と右京に詰め寄るも、右京は意に介さない。 次に右京は源馬を捜査する過程で百田という刑事も反社と癒着しているらしいと怪しみ、こちらの捜査も開始するが、彼の協力者は誰もいない…。そこで冠城は右京とコンビ再結成。冠城は自身も源馬告発に動けば特命係が完全に角田の協力を失う事を危惧し、あえて右京から離れていたのである。 角田の協力で百田が庇っていた裏カジノも摘発を完了。しかし百田は“武輝会”が差し向けた薬物中毒者に殺害されてしまう。結局組織は解体出来ずに終わるも、角田は源馬も殺されていた可能性に気付き右京の行動に理解を示して和解する。 本作は“悪を滅ぼす為の必要悪”というテーマを重厚に描いている。右京の不正を許さない姿勢は正しいし、源馬の反社壊滅の為に手を尽くす姿勢も間違ってはいない。その2つの正義がぶつかる展開は大きな見所だ。 しかしそれに匹敵する面白さを見せたのが冠城亘だ。本エピソードで彼は、右京が危なくなると察知して大胆かつ器用に立ち回る。 このムーブは他の歴代相棒にはできない事であり、冠城独自の特色が十全に発揮されている。しかも右京はその思惑を言わずとも察知するという絆の強さも見せつけられた。冠城期の『相棒』を語る上で本エピソードは決して外すことはできないだろう。 (文・Naoki)
Naoki