上田桃子 貫き通した「全部優勝したい」
【記者フリートーク】気骨のあるプロだった。バーディーチャンスでパットを外すと、足を引きずるように歩き、スコアが悪いとギャラリーに声をかけられても、笑顔を見せることはなかった。母・八重子さんに何度たしなめられても、それは変わらなかった。「だって、予選通過を狙っているわけじゃない。出ている試合は全部優勝したいんだから」と口をとがらせた。 心根の優しいプロだった。ジュニア時代は1歳年上の宮里藍や同い年の諸見里しのぶの後塵(こうじん)を拝したが、足が不自由な5歳年上の姉・亜沙美さんを支えたいとの思いもあり、プロゴルファーになることを決意した。だから、車椅子で観戦するギャラリーを見つけると、駆け寄り、ボールにサインをして渡した。 セレクトショップを経営していた父・功一さんの影響で、ゴルフ界きってのおしゃれ。旅好きで、料理教室にも通うほど食への興味もある。真のプロゴルファーがいなくなる寂しさはあるが、第二の人生の前途も明るいと確信している。(元ゴルフ担当・康本 園子)