巨人・坂本「打撃の神様」に並ぶ2351安打 菅野証言「みんなの手本」
◆JERA セ・リーグ ヤクルト3―1巨人(12日・神宮) 巨人・坂本勇人内野手(35)が6回2死から右前安打を放って通算2351安打とし、NPB歴代13位で球団OBの「打撃の神様」川上哲治に並んだ。岡本和真内野手(27)がリーグトップタイの8号ソロを放った直後に出たメモリアル安打を追加点につなげることはできず、チームはヤクルトに逆転負け。連勝は4で止まり、1日で首位から陥落した。14日からはDeNAと北陸シリーズ2連戦(富山、福井)に臨む。 【動画】坂本勇人が母の日仕様のバットで練習 技ありの一打で「打撃の神様」の領域に足を踏み入れた。1―0の6回2死、坂本は軸足の右足を引きながら、外角146キロカットボールを逆方向へはじき返した。「ボールが止まって見えた」の名言を残した川上哲治に並ぶ、歴代13位タイの通算2351安打目が右前に弾む。7日・中日戦(バンテリンD)の第3打席で右前打を放って以来、16打席ぶりの快音に「もうちょっと状態を上げて、貢献できるように頑張ります」と淡々と振り返った。 王手から3試合足踏みして迎えた「母の日」。坂本にとっては09年は逆転2ラン、19年には開幕から36試合連続出塁で97年金本(広島)のセ・リーグ記録を22年ぶりに更新と数々の足跡を残してきた日だ。1年目の07年に逝去した母・輝美さん(享年47)へ「感謝の気持ちはいろいろあります」。一番近くで見守ってくれた母への思いを示したピンクのバットで、特別な一打を放った。 それでも「通算の何本とかは何も考えていないです」が、揺るぎない思いだ。4月16日の阪神戦(甲子園)で7回1死二塁から併殺を狙った挟殺プレーが結果的にオールセーフに。翌日の試合前、ナインの前で「昨日はすみませんでした」と頭を下げた。 好不調にかかわらず、全体練習前から一人で入念にストレッチなどに汗を流し、準備を怠らない姿はプロ入り直後から変わらない。長年エースとして坂本とチームを支えてきた菅野は「あれだけの大選手でも毎日変わらずグラウンドに出てきて、毎日同じルーチンをこなしている。自分も勇人さんの背中っていうのは勉強になることが多いので。みんなの手本になっていると思います」。衰えぬ勝利への欲求が、背番号6の背中を突き動かしている。 守備では0―0の3回1死満塁からサンタナのゴロをさばき、二塁へジャンピングスロー。ピンチを救う併殺を完成させた。今季から本格転向した三塁で連日、華麗な守備を見せている。一方、巨人は逆転負けで連勝は4でストップし「もう少し(自分が)打っていれば楽になっている展開が何試合かありましたし、もっと頑張ります」。歴代12位の落合博満にもあと20本と迫った。チームのためにバットを振った先に、新たな偉業が待っている。(内田 拓希) 【高木豊Point】 坂本がレギュラーになった時代から今まで野球は大きく変化している。投手の球速は上がり、変化球も種類が増えている。その中での積み重ねは素晴らしいの一言。(昨年まで)ショートで成し遂げているのは同じ内野手として尊敬でしかない。自分も内野は全部守ったけど、セカンドと比べても、ショートを守る精神的、肉体的な負担は倍以上ある。しかもチームリーダーとして。今年からようやくサードになったけど、私の中では坂本の右に出るショートはいないです。(スポーツ報知評論家・高木 豊)
報知新聞社