浅草の三社祭 見せ場の「宮出し」に湧く
浅草神社の例大祭「三社祭」は最終日の17日、見せ場である神社から3基の神輿を担ぎ出す「宮出し」が行われた。 夜明けとともに祭り装束に身を固めた人たちが集まり、午前6時からの宮出しに備えていた。「宮出し」は神社に奉納されている3基の本社神輿を担ぎ出すという三社祭の見せ場。境内では、笛、太鼓の音が鳴り響き、半纏(はんてん)姿の氏子たちが重さ1トンはあるという神輿を担ぎ、掛け声をかけながらおよそ2時間にわたり威勢よく回った。途中、神輿が傾く、3基の神輿がなかなか並ばないなどの一幕もあったが、最後は無事に担ぎ出された。
神輿が仲見世通りや雷門を通って街に繰り出すと、見物に詰めかけた大勢の人の歓声に包まれ、撮影したり、粋な下町風景を楽しむ人々で賑わった。神輿を担いだ20代男性は「非常に感激した」と興奮を隠せない。また見物の多くの人は「毎年楽しみにして」この場に来ていると話した。 「神輿(みこし)」は祭礼するときに、ご神体などがのる輿の事をいい、「神幸(しんこう)」とは、ご神体が目的地などに渡御することをいう。氏子達が担いで各地区を練り歩き、神様に各地区を見てもらう。神輿を上下左右に激しく揺さぶっているのは、神様の「魂振り(たまふり)」で、神様の霊威を高めて、豊作・豊漁となり、疫病がなくなると信仰されている。
浅草神社には3基の神輿があり、祭礼の際、「一之宮」は「土師真中知命(はじのあたいなかとも)」、「二之宮」は「桧前浜成命(ひのくまはまなり)」、「三之宮」には「桧前竹成命(ひのくまたけなり)」の御神霊をそれぞれ移し、町中を渡御する。いずれも浅草神社の草創に関わっている。 よく耳にする「氏子」は、神社の祭礼行事を構成する人々で、神社には氏子区域が定められている。氏子の資格には,一定地域に居住すること、祭りに関わるという2つの条件が必要。今年は特に約50年ぶりに本来の姿である氏子たちの手だけで行われることになる記念の年になった。
長野市の善光寺境内での「ドローン」落下など、各地でドローンに関する事故が相次いでいることを受け、境内のいたるところにドローンによる撮影を自粛する張り紙がされていた。 三社祭は、日枝神社の山王祭、神田神社の神田祭とともに「江戸三大祭」の一つに数えられ、3日間の祭礼では約150万人の人出が見込まれている。町を練り歩いた神輿は夜8時ごろ神社に戻り、最後に「宮入り」が行われる。 (ライター・中村曜子)