日本の航空機工業界の第一人者に聞く、「国産航空機」を製造する秘策とは
ボーイングの下請けからのどのように脱却するか?
日本企業は長年、ボーイング広胴機の下請けである。ボーイング767型機の機体構造部分の部品供給シェアは、日本は16%から始まり777では21%、最新の787型機では35%と徐々にシェアを上げている。また、最新の傾向では、ボーイングの製品問題からエアバスへの部品納入シェアを増やすメーカーもある。「航空機製造国として独自の道を切り開くためには、この下請け状況から脱却することが必要だ」と両氏は語る。 航空機製造には国際的な認証取得が求められる。中村氏は、「現在の航空業界は『A=Airbus、B=Boeing、C=Comac』という欧・米・中の大国の包囲網で進んでいます。日本はここに風穴を開けるべく、米仏などの協力を得て完成航空機の製造を目指すべきです」と指摘する。 航空機の型式証明は開発国と運航会社の登録国の認証が必要であり、国産機は、日本のJCABと、米国の連邦航空局(FAA)および、欧州のEASAの認証を取得することが重要であるという。 2030年ごろまでに新動力を搭載した新世代機の開発を進め、2035年には就航開始するスケジュールで進行できれば、日本は世界市場で新たな地位を確立できるだろう。
執筆:航空ジャーナリスト 北島 幸司