カスハラ対策に「ビジネスネーム」導入の動き ネット社会で情報漏れる実名勤務はリスクに
導入当初は性的マイノリティーを自認する従業員などを念頭に置いていたが、それに限らず個別の事情で自由に使う名前を選択できるという。 ビジネスネームを使用している従業員は名刺も社用メールのアドレスもそのビジネスネームを使用し、社内でもビジネスネームで呼びかけられている。 「私自身、管理部長になるまで誰がビジネスネームかなどはまったく知りませんでした。その人がどのような理由でビジネスネームを使用しているのかも聞いていませんし、記録にもありません。でも、それだけ自然に、周りに気兼ねなく使えているからこそ意味があると考えています」(森兼さん) ■「特に負担はない」 当然、管理部門が使用するシステムなどでは実名と併記されている。税や保険など社外に届け出る公的な書類についても実名での記載だ。 「管理部門の工数は多少増えますし、基本的に広く知られていい情報ではないので情報の取り扱いにも注意を要します。それでも、従業員がパフォーマンスを発揮するためのコストと考えると特に負担はありません」 もちろん、一部の資格業務など実名以外で働くことが難しい仕事もあるだろう。一方、慣習として実名を使っているだけというケースも少なくない。「どんな名前で働くか」を個人が選択することで、働きやすさや働きがいが向上する場面もありそうだ。(編集部・川口穣) ※AERA 2025年1月13日号
川口穣