「眠れない」「誰も支えてくれない」……長引かせると重症化する、適応障害の「うつ状態」とは
ストレス因子がなければ普通に過ごせる。わがままと誤解されることも
適応障害では、ささいなことで極端に落ち込む一方、ストレス因子がない状況ではうつ状態がなくなります。自分の好きなことや楽しいことに向き合っているときは、気分がガラリと変わって、元気になります。 会社を休んでもショッピングには行ける、不登校でも放課後のクラブ活動には参加できるなど、周囲の人からは病気には見えない行動もあります。適応障害の人は、周囲からは病気に見えず、わがまま、自分勝手だと誤解されることがありますが、こうした気分反応性によるところが大きいです。 こうした不安定さは、非定型うつ病の「気分反応性」に似ています。ものごとに対して過剰に気分が反応するという意味です。適応障害の診断基準には気分反応性という語は挙げられていませんが、症状としては同じです。 ちなみに、こうした気分の浮き沈みは、双極性障害にもあることです。気分が晴れるのではなく、軽く気分が高揚しているのかもしれません。とくに、躁が軽い双極2型障害との区別はなかなか困難です。 【双極性障害3つのタイプ】 ●双極1型障害:うつも躁も同程度に現れます。躁状態では高揚感や万能感にあふれ、常軌を逸した行動などをして、日常生活に支障をきたします。一般的には入院治療が必要です。 ●双極2型障害:1型と同程度のうつと、軽い躁が現れ、日常生活に支障をきたします。躁状態が軽いので、病気ではなく、絶好調のように見えてしまうこともありますが、入院治療が必要です。 ●気分循環性障害:軽いうつと軽い躁状態を慢性的にくり返します。
からだとこころ編集チーム