学校は地域社会のインフラ(11月10日)
少子化対策、若年人口の流出対策は深刻で喫緊の課題だ。人口減少がもたらす負の側面は、社会経済活動の停滞、社会保障の不足、社会インフラ維持の困難さ、防災の不全等多方面に現れ、さらに広がる。特に地方の人口減少の影響は深刻で企業誘致、移住の促進、若者に魅力的な街づくり等様々な対策は講じられているが、効果は一向に見えてこない。 厚生労働省が発表した人口動態統計では、2023年に生まれた子どもの数は約73万人で、前年度より約4万人8年連続で減少し、統計を開始した1899(明治32)年以来、過去最少の数字だ。少子化・人口減少の流れはもはや「反転」することはない。今、地域社会に求められているのは、子どもを産みたい人が産み育てやすい環境を創り、少子化を「緩和」することだ。その緩和財として学校は地域社会のインフラだという認識の共有が重要である。インフラとは地域社会を支え、基盤となる設備・施設やサービスを指す。
学校法人の理事長として重責に押し潰されそうな時もあるが、豊かな幸福感に満たされる時が多い。それはそれぞれの学校行事に招待される時だ。幼稚園の入園式に始まり、小、中、高、短大の入学式、運動会やスポーツ大会、文化祭である幼・小の学院祭、中・高の桜華祭、短大のあかしや祭、それぞれの発達段階に合わせた宗教行事、学習発表会、卒業発表会、そして学校種ごとの卒園・卒業式。 孫も3人いるので私のまなざしは、祖父母のまなざしなのだが、どの学校種の子どもたちも、命がキラキラと輝いていて美しく、観るものに多幸感を与えてくれる。また、その子どもたちを見つめる教職員や保護者、地域の方々のまなざしも、子どもたちへの愛おしさに満ちていて、本当に美しく輝いている。幼小合同の運動会で、教職員さながらに子どもたちを誘導支援する短大生たちに見守られ、長距離走で学園を飛び出し、町内を駆け抜ける小学生たちを応援して下さる地域の方々にも笑顔があふれていた。地域社会で子どもの笑顔が観られるというインフラ機能は、その地域社会の活性化になる。