日本株、年末の「駆け込みNISA枠消費」需要で大注目の「プロ厳選”好”配当銘柄5選」を実名紹介
キヤノン(7751)
■株価(11月15日時点終値)5038円 配当利回り(予)2.98% 利益の大部分を占めるレーザープリンターやデジタルカメラの市場縮小は続いているが、固定費削減や構造改革、M&A(企業買収・合併)を通じて事業の再構築を進め、商業・産業印刷、ネットワークカメラ、医療機器、半導体製造装置などの新規事業による成長を目指している。 安定配当を重視する個人投資家にとって魅力的な注目ポイントは強固な財務基盤だ。「現金及び現金同等物」の期末残高は4000億円を超えており、潤沢な内部留保が総還元性向(配当金と自社株買いを合わせた株主還元額を利益で割った割合)100%超の株主還元姿勢の源泉となっている。 株価上昇で株主還元強化期待は短期的には織り込まれている水準にあるが、新規事業の収益化や構造改革の具体的な成果が明確化する局面では、再び注目が集まるだろう。次期中期経営計画では、ガバナンス体制の強化や親子上場解消の検討などが議題となる可能性もあるだろう。これらの進展次第では、企業価値の再評価につながる期待もありそうだ。
東京建物(8804)
■株価(11月15日時点終値)2662.5円 配当利回り(予)3.00% 2024年12月期は高額マンション販売の増加を背景に配当金予想を年間80円とし、11期連続増配を計画している。配当性向は34.4%と低く、来期以降も増配が続く余力がある点も魅力的だ。2025年以降はマンション販売の反動減が見込まれるものの、物流施設やオフィスビルの売却益などでカバーできるとみる。 注目すべきは、不動産価格上昇に伴う「含み益」(保有資産の市場価格が帳簿価格を上回る利益)が拡大していることだ。同社は2023年12月期決算で、5294億円にのぼる賃貸等不動産の時価評価を公表している。同社が多数のオフィスビルを保有する「八日京(八重洲・日本橋・京橋)」エリアでは、2030年頃までに複数の大規模再開発が竣工予定でもあり、含み益のさらなる拡大が期待できそうだ。 同社は2025年2月には新たな中期経営計画が発表される予定だ。政策保有株や固定資産の売却が盛り込まれる可能性もあるだろう。ROE(自己資本利益率)のさらなる向上と株主還元の強化につながる期待は大きい。 米国の「S&P500配当貴族指数」(25年以上連続増配している銘柄で構成)や日本の「日経連続増配株指数」(連続増配年数の長い銘柄で構成)といった指標も、銘柄選定の参考になる。選択に迷った場合には、これら指数に連動する投資信託を活用するのも一つの選択肢だ。なお、12月末決算企業の権利確定日は12月30日(月)だ。配当を受け取る権利を得るためには、権利付き最終日である12月26日(木)までに株を購入する必要があることに留意しておきたい。
宇野沢 茂樹(証券アナリスト)