シリア反体制派、攻勢続く…SNSで中部や南部の都市「制圧宣言」
【カイロ=田尾茂樹】シリアの反体制派は6日、中部にあるシリア第3の都市ホムスの近郊と南部ダラアを制圧したとSNSで宣言した。北部アレッポや中部ハマを相次いで掌握した反体制派は首都ダマスカスに向け、アサド政権に対する攻勢を南北から加速させている。
反体制派は、イスラム過激派組織「シャーム解放機構」を中心とする勢力。今後ホムスが制圧されれば、政権の中枢を担う少数派イスラム教アラウィ派の住民が多い地中海沿岸のラタキアや、政権の後ろ盾であるロシアの海軍基地があるタルトゥースと首都が分断され、情勢は緊迫度を増す。
シャーム解放機構の指導者はCNNのインタビューで「革命の目標は政権打倒だ。目標達成のため、あらゆる手段をとる」と述べた。シリア国営通信は6日、軍情報筋の話として、ホムスや周辺に展開する政権軍が、反体制派を迎え撃つ態勢を整えていると伝えた。
一方、米紙ニューヨーク・タイムズは、アサド政権を支えるイランの当局者らの話として、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」幹部や大使館員らがシリアから避難を始めたと報じた。イランは、劣勢のアサド政権を援護する戦闘を避ける可能性がある。
シリアでは、北東部を支配するクルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」も政権への攻勢を強めている。ロイター通信が伝えた情報筋の話では、東部デリゾールが占拠された。ロシアやイラン、反体制派を支えてきたトルコの外相は7日、シリア各地で戦闘が激化する事態の打開に向け、カタールで協議した。
イスラエル軍は6日、シリアでの反体制派の攻勢を受け、奇襲攻撃に備えるため、イスラエルが占領するシリアのゴラン高原に追加派兵したと明らかにした。米ニュースサイト・アクシオスは「イスラエル情報当局がアサド政権崩壊の可能性が高まっているとみている」と伝えた。