鈴鹿央士“左右馬”の笑顔が最高…大どんでん返しが無いミステリー『嘘解きレトリック』の醍醐味とは? 第2話考察レビュー
『ガリレオ』コンビが描く”運命の出会い”
この2人を見ていると、“運命の出会い”って本当にあるんだなと思わされる。その人に出会ったことで、人生がプラスに動き出すような。自分の嫌いだった部分を、好きになれるような。 たとえ、困難にぶつかったとしても、「この人がいれば、大丈夫」と思えるような。『ガリレオ』シリーズを手がけた西谷弘監督と、鈴木吉弘プロデューサーが再タッグを組んでいるだけあり、そのあたりの描き方がとてもうまい。 『嘘解きレトリック』は、ミステリーではあるが、鹿乃子に嘘が聞こえる能力があるため、大どんでん返しなどは存在しない。犯人も、すぐに明らかになってしまう。 でも、その奥には嘘をついた理由と、背景が存在していて。第2話のご令嬢誘拐事件も、犯人は藤島家の運転手・耕吉(宮崎秋人)だとあっさり分かったが、誘拐事件を起こすに至った経緯が、じっくりと描かれていった。
嘘をついた理由を丁寧に描く『嘘解きレトリック』
ミステリードラマの醍醐味は、犯人を考察することだと思っていた。誰が嘘をついているのか? どのようなトリックが潜んでいるのか? と考えながら視聴するのが、いちばんの楽しみ方だ、と。 しかし、1話の最後で犯人が明らかになる作りだと、その事件を起こした理由や、背景が気薄になってしまいがち。その点、『嘘解きレトリック』は嘘をついた理由(=裏切った理由)を丁寧に描いてくれるからこそ、人間ドラマとしても楽しむことができる。 ただ、耕吉が誘拐事件を起こした理由は、ちょっぴり納得がいかない部分があった。耕吉は、兄の借金の連帯保証人になったせいで、借金取りから脅されていたらしい。 返せないのなら、「お嬢様(=千代)を売り飛ばす」と言われ、悩み抜いた挙句にこんな誘拐事件を起こすことにした。 「藤島幸弘、恨ミハ、忘レナイ」「千代を預かった。返して欲しければ、金を用意しろ」と手紙に書き、8300円(=現在でいうと660万円ほどと言われている)を要求。千代の父・幸弘(杉本哲太)を恨んでいる人間の犯行であるかのように見せかけた。 しかし、千代を傷つけたくなかった耕吉は、実際に彼女を誘拐していたわけではない。千代が観劇を楽しんでいる間に、すべてを終わらせようと思っていたようだ。 「耕吉は、千代を傷つけない道を選んだ」と、感動の結末…かのようになっていたが、そもそもこんな回りくどいことをする必要はあったのだろうか? と思ってしまった。幸弘に本当のことを話していたら、融資をしてくれたのでは? と。