得点も失点も四死球絡む…窮地を救った井端ジャパンの“奪三振力” 4試合52三振で1次リーグ首位通過決める
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って・侍ジャパン編 ◇17日 「ラグザス presents 第3回 プレミア12」 1次リーグ 日本7―6キューバ(台湾・天母) 4試合目にして初めて長打なし。栗原の決勝打が何と4つめの犠飛。つなぎの攻撃の起点は、四死球だった。8回は無死一塁から辰己が死球で好機を広げた。これがこの試合10個目の四死球。始まりも2回の森下の死球だった。二盗と暴投で三塁に進み、佐野の中前打で先制のホームを踏んだ。3回は無死一、二塁から辰己が四球を選んで塁を進め、森下の中犠飛で追加点。5回も2四球が得点にからんだ。 オーストラリア戦で5四死球、韓国戦は4四死球、台湾戦は5四球。その多くが得点につながっていた。4戦で24四死球。一方で投手が与えたのは3試合でわずかに2四球。井端監督はこう言っていた。 「それだけゾーンで勝負できているというところ。1点で済むところが2点、3点になりかねないですから」 四球力の裏と表。抜群のゾーン率を見せていた投手陣が、今大会初めてほころびを見せたのが6回だった。先発の早川が先頭のサントスに四球を与えたところからリズムが狂った。デスパイネも歩かせて降板。2番手の横山も制球に苦しんだ。6、7回は計5四球を与えてしまい、5点を失ったのは今後の反省点。そんな窮地を救ったのが、侍ジャパンがもつもうひとつの武器である三振奪取力だった。4試合で何と52三振。6回、2死満塁で横山を救援した鈴木昭はワルテルスを三振に打ち取り、9回1死満塁の大ピンチを背負った藤平も、モンカダ、コスメを連続三振に仕留めて1次リーグ首位通過を決めた。 ゾーンで勝負できているからこそ、打者は低めの変化球にも手を出してくる。打者は四球を奪い、三振を許さない。投手は四球を与えず、三振を奪う。それが日本の戦い方。雨中のキューバ戦は中盤から一気にもつれたが、得点も失点も四死球がからむ。そして勝利を逃さなかったのは勝負どころで奪った三振だった。東京ドームでの2次リーグでも、井端ジャパンの強みとなるはずだ。
中日スポーツ