薬不足招いた後発薬業界の怠慢 承認書と異なる製造「4割超」 再編への動きは加速 経済 ヨコからナナメから
一方で承認書と相違がないことを前提に医師は患者に医薬品を処方し、薬剤師も説明している。後発薬業界の姿勢に批判が集まるのも当然だ。
国は医療費を抑制するため、安さが売りの後発薬の使用を促してきた。現在、その数量シェアは約8割を占める。ただ、急拡大した市場には新規参入も増え、中小規模で生産能力の限られている企業が乱立した。すると企業間の価格競争は激化、もともと低価格であるために利益は少なくなり、製造・品質管理の体制整備が追い付かない状況を生んだ。原薬や資材、エネルギー価格の高騰も後発薬メーカーの経営を圧迫し、薬不足を長引かせている。
こうした課題を解決するために、業界再編の機運が高まっている。国も議論を進め、今年公表した報告書の中で「コンソーシアムや企業統合なども考えられる」とした。今月には武田薬品工業が後発薬を扱う武田テバファーマの株式譲渡を発表。投資ファンドの傘下に入ることになった。
少子高齢化の日本で、患者の負担軽減や医療費抑制に貢献する後発薬は欠かせない存在だ。現状の緩んだ業界の体質をただすためにも、再編への動きは加速していく。