ド変態ですが何か? 刺さる人には超刺さる「R指定」マンガ原作映画
歪んだ愛欲に堕ちる青春エロス
過激なマンガを実写映画化する際、立ちはだかるのが「年齢制限」の壁です。年齢制限を設ければ、刺激的な暴力表現や性愛描写などを展開できるようになりますが、その分鑑賞できる人が限られてしまうというデメリットもあります。 【画像】えっ、18歳でとんでもない写真集を? こちらが『月光の囁き』ヒロイン役「つぐみ」さんのかつての姿です 年齢制限を設けて原作の過激な部分を再現すべきか、過激なシーンをマイルドにして年齢制限を避けるべきか……前者を選んだ作品には、いったいどのようなものがあるのでしょうか。 ●『月光の囁き』(1999年) 映画『月光の囁き』(原作:喜国雅彦)は、マゾ的嗜好の男とサド的嗜好の女によるフェティシズムを描いた物語です。冒頭は高校生の「日高拓也(演:水橋研二)」と「北原紗月(演:つぐみ)」の甘酸っぱい恋愛模様が展開されますが、拓也の異常な性癖が明らかになったあたりから、ふたりの関係は大きく変化します。 拓也は交際前から、紗月の靴下やリップクリームを盗んでは自慰行為に使用していました。ほどなくして彼の悪行は紗月にバレるものの、彼女も引きずられるように拓也への対応が異常になり、サディスティックな一面が露呈していきます。なかでも他の男に抱かれながら、隠れて見ている拓也へしきりに目配せする紗月のシーンは、むしろ当て馬の男のほうが気の毒に感じてしまうでしょう。 異常な関係性が題材で、万人向けの作品ではありませんが、ネット上では「表面的には変態的だけど純愛なんだよね」「周りからはゆがんで見えても本人たちの思いはまっすぐな純愛」と、異端な純愛映画として長年支持されています。 ●『セフレの品格』(2023年) 累計430万部以上を誇る湊よりこ先生の人気マンガ『セフレの品格』は、前後編の2部作で2023年に実写映画化されました。 主人公の「森村抄子(演:行平あい佳)」は、同窓会で初恋の相手だった「北田一樹(演:青柳翔)」と再会し、その日のうちに肉体関係を結びます。より親密になりたい抄子でしたが、一樹からセフレになろうと提案されてショックを隠せません。しかし一樹と過ごした夜を忘れられない抄子は、ずるずると関係を続けてしまうという、ねじれた男女の物語です。 抄子は寂しさを紛らわすかのように快楽に溺れ、職場の上司やアルバイトの青年とも関係を結ぶなど、劇中には何度も濡れ場が登場します。しかし決して誰でもいいというわけではなく、身体の相性が演技にあらわれているのもひとつの見どころです。また後編では、2025年後期の朝ドラヒロインに決まった高石あかりさん演じる未成年の家出少女「山田咲」が登場し、胸を打つヒューマンドラマも展開されました。 ●『シマウマ』(2016年) あまりの過激さから「絶対に読んではいけないマンガ」とまで評された小幡文生先生のマンガ『シマウマ』は、 2016年に竜星涼さん主演で映画化されました。 主人公は、美人局で日銭を稼ぐチンピラの「倉神竜夫」、通称「ドラ」です。ある日、ドラが美人局のターゲットにした男がヤクザと判明するも、彼は構わず金を盗んでしまいました。ヤクザに狙われる身となったドラは、生き残るために復讐代行業である「回収屋」へと転身し、裏社会で生きる道を選びます。 復讐の代行とあって、劇中はリンチや強姦などショッキングなシーンのオンパレードです。回収屋の仕事のなかで、「男の象徴」が燃やされてしまうシーンは、男性が見るにはつらすぎるかもしれません。 またターゲットが大人だけではないことも、本作の残酷さを底上げしています。罪のない子供が最悪の悲劇に見舞われるシーンもあり、ネット上には「吐き気がするほど腹が立った」という憤りの声も出ていました。視聴には注意が必要です。
ハララ書房