<源泉かけ流し>の定義はものすごくあいまいだった!<循環>ならではのメリットも…約500湯を巡った温泉オタク会社員が教える「簡単な見分け方」
訪れた温泉は約500湯、女ひとりで温泉を巡りまくっているという永井千晴さん。旅行情報誌編集部で働いた経験を活かし、現在は「温泉オタク会社員」としてブログなどで温泉情報を発信しています。その「温泉オタク会社員」こと永井さんが温泉の楽しみ方を紹介する当連載。今回のテーマは「源泉かけ流し」です。 永井さんおススメの温泉がこの一冊に!『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』 * * * * * * * ◆温泉の加工手段 「源泉かけ流し」。温泉好きが集えば、この定義によっておそらく一晩は飲んで話せるほどの、奥深いものです。そもそも源泉かけ流しって、どういう状態を指すか、ご存知ですか。 温泉が湯船に注がれる際、さまざまな加工がなされている場合があります。めちゃくちゃわかりやすく考えるとすれば、これらの加工が一切なされていない状態を「源泉かけ流し」だと認識していいと思います。 温泉の加工には、次のような手段があります。 ・ 加水する(源泉を適温にしたり、湧出量が少ないのを補完したり、成分が濃すぎる源泉を希釈したりするため) ・加温する(冷たい源泉を適温にするため) ・循環する(湯船に注いだ温泉を吸引し、再び湯船に戻すこと) ・ 循環濾過(ろか)する(湯船から吸引した温泉を、汚れやごみを取り除くために濾過器を通してから再び湯船に戻すこと) ※循環している場合、温泉を清潔に保つため塩素消毒を行うことが多いです。消毒は条例によって定められている場合もあります。 加水・加温・循環・濾過・消毒をしているかどうかは、脱衣所にある温泉分析書に記されています。
◆源泉かけ流しの定義 だから、全てが「なし」と書かれていれば、それはたしかに源泉かけ流し。 しかし、一部が「あり」と書かれていた場合は絶対に源泉かけ流しではない、とも言い切れません。ここが厄介なところです。 加水・加温・循環・濾過・消毒のうち、どの加工をどこまで許容するかが、識者や団体によって見解が分かれているのです。 なぜなら、この加工が「必要」な場合もあるし、「泉質に差し支えない範囲」な場合もあるから。 源泉かけ流しの定義は、実はものすごくあいまいなものなのです。 飯塚玲児氏の『温泉失格』によれば、「加水・加温・循環・濾過・消毒すべてNG」と語る人もいれば、「加水・加温については、許容する場合もある」と語る人もいるし、「加水・加温・循環はNGだが、条例によって定められている点から消毒については問わない」と語る人もいるとか。 だから、「自分的には、どこまでが源泉かけ流しなのか」の指標を持つことで、温泉の良し悪しも考えやすくなると思います。
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