ティームー 、広告費が1000%増に:集中的マーケティングの圧倒的規模「このような戦略は見たことがない」
オンラインマーケットプレイスのティームー(Temu)は、ソーシャルメディアや検索連動型広告、テレビを問わず、大量の広告に頼って買い物客を勝ち取ろうとしている。 広告インテリジェンスプラットフォームのメディアレーダー(MediaRadar)の新しい調査によると、ティームーの2023年1月から11月までの広告支出は前年同期比で1000%も増加した。この期間における広告支出の76%がソーシャルメディアに費やされたのに対して、デジタルディスプレイ広告への支出は13%だったことを、メディアレーダーは明らかにした。ウォールストリートジャーナル(The Wall Street Journal)によると、ティームーはテレビへの資金投入も増やしており、2年続けてスーパーボウル(Super Bowl)の試合中に広告を出す計画だ。米モダンリテールはティームーのマーケティング支出について問い合わせたが、現時点ではコメントできないという回答だった。
スーパーボウル広告の反響
ティームーの売りは、2ドル(約296円)のシュシュや10ドル(約1480円)のスニーカーなど低価格の商品だ。まだ新しい企業で、2022年9月に米国に参入したばかりだ。しかし、この1年半ほどでTikTok、インスタグラム、Google、そのほか人々が買い物をするあらゆるチャネルに広告を打つことで、膨大な売上を達成してきた。メディアレーダーは、2023年の9月から12月までにティームーは米国内での広告に5億1700万ドル(約765億円)以上を投じたと、米モダンリテールに語った。ティームーの親会社(中国を拠点とするピンドュオドュオホールディングス「PDD Holdings」)はブランドごとの売上を明かしていないが、前四半期の合計収益は前年同期比94%増の688億4000万元(96億7000万ドル、約1兆4300億円)に達した。ティームーが2024年に向けて広告への投資を減らす兆候はない。 シーイン(Shein)と同様、ティームーも、新規顧客を獲得するため集中的なデジタルマーケティングに頼ってきた。ゴールドマンサックス(Goldman Sachs)のアナリストは、ティームーが2023年にメタ(Meta)に支出した金額は約12億ドル(約1780億円)と推定し、メタはこの1月に自社プラットフォームでティームーの広告を8900回出したと推算している。ティームーは昨年2月、初のスーパーボウル広告を出し、視聴者に「億万長者のように買い物をする」よう呼びかける30秒のスポットCMを流した。ティームーの広報担当者は、ティームーが「2023年のスーパーボウルの広告キャンペーンが、eコマース大手である自社の知名度を拡大するため役立ったとしている」と、アドエイジ(AdAge)に語った。 ティームーはまた、商品がAppleの充電器やスタンレー(Stanley)のタンブラーのような有名ブランドの商品と並んで表示されるよう、検索連動型広告にも投資した。実際、「レゴ おもちゃ(Lego toy)」という用語で検索すると、レゴ(Lego)よりもティームーのGoogleショッピング結果のほうが多く表示されると、eコマースソリューションプロバイダーであるスメック(Smec)のeコマースインサイト責任者マイク・ライアン氏はXで指摘した。ティームーはTikTokで評価を固めつつあり、「#Temu」というハッシュタグは累計110億回も再生された。ティームーは300人以上のフォロワーを持つインフルエンサーを対象としたソーシャルメディアインフルエンサーのプログラムを運営し、これまで1万人を超えるインフルエンサーと協力してきたと述べている。