ADAS(先進運転支援システム)とは何かを完全解説、自動運転との違いや7つの機能など
ADASを補完する「V2X通信」とは
V2X通信は、コネクテッドカーと混同されることがあるが、それは間違いである。コネクテッドカーはV2N通信(車両-クラウド/Vehicle to Network)を指すが、V2X通信は、V2N通信を含む、以下の通信形態すべてを含むからである。 ・V2V通信:車両間/Vehicle to Vehicle ・V2P通信:車両-歩行者/Vehicle to Pedestrian ・V2I通信:車両-路側インフラ/Vehicle to Infrastructure ある試算では、車両と歩行者・自転車・二輪車の交通事故発生について、15年後にはADAS単体で55%防止できるが、V2Xを追加搭載することで防止率を78%にまで引き上げられるとしている。 V2X通信をADASに含めることには違和感もあるが、さりとて交通安全の高度化や、自動運転を論じる上では同じ文脈上にある。そのため、本稿でもV2X通信を紹介した。 V2X通信の経済効果についても紹介しておこう。「5G(第5世代移動通信システム)」の活用を研究する国際組織「5GAA」によれば、欧州におけるV2X通信導入による経済効果は、200~430億ユーロ(3.2兆円~6.9兆円)と試算している。内訳は、約80%が道路交通の効率化、約17%が交通事故防止効果である。
ADASに含まれる「7つの機能システム」
ADASは先述のとおり、複数のシステムが含まれる。代表的なものを挙げよう。 ・ペダル踏み間違い防止装置 アクセルとブレーキの踏み間違いを防止する装置。高齢者による事故の増加を踏まえ、政府は搭載を義務化する方針を打ち出している(義務化の時期は未定)。 ・自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ<AEBS/Advanced Emergency Braking System>) 前方に障害物があり、かつドライバーがブレーキ操作などを行わず衝突の危険性がある場合に、自動的にブレーキを作動させる装置。前方衝突警告装置(FCW/Forward Collision Warning)と組み合わされる。 自動ブレーキの搭載は、以下の図2のスケジュールで義務化される。 図2:衝突被害軽減ブレーキの義務化施行スケジュール (出典:国土交通省リリース) ・車線逸脱防止支援システム(LDW/Lane Departure Warning) 自動車が車線から外れるような動作をしたときに、アラート発報を行い、また車線内での走行を維持するためのステアリング操作をアシストするシステム。 ・先行車に追従するクルーズコントロール(ACC/Adaptive Cruise Control System) 一定の速度をキープして走行するクルーズコントロールを進化させ、先行車を検知し、車間を維持した状態で走行を継続する装置。