牛窪恵 キスも性行為も「女子先行」?なぜ4割前後の男女が30歳過ぎでも「経験ゼロ」なのか?若者の経験率の低さを裏付ける<希望格差社会>について
厚生労働省によると、2022年の日本の婚姻数は50万4930組だそうです。前年に比べやや増加しているものの、割合としてはあまり変わらないとか。マッチングアプリや婚活サービスは増加していますが、結婚する人があまり増えないのはなぜでしょうか? そんな疑問に答えてくれるのは、マーケティングライターの牛窪恵さん。牛窪さんは、「近年は異性との性行為に憧れをもたない若者も増えています」と言っていて――。 【図表】中学・高校・大学生男女の性交経験率(推移) * * * * * * * ◆若者の性行為への「既視感」 相手が至近距離にいなければ、キスやセックスは(通常なら)できません。昭和の時代なら、「キス(セックス)したい」との欲求こそが、「あの人に早く会いたい」「近づきたい」など、リアル恋愛の原動力にもなっていたはずです。 ところが、近年は異性との性行為に憧れをもたない若者も増えています。 正確にいえば、早々に性体験を済ませる「早熟派」と「未経験派」の二極化が起こっており、未経験派はネット情報などによって、一方の早熟派は、早々に性行為を体験し「なんだ、この程度か」などと感じることで、それぞれ既視感を強めている印象です。 日本性教育協会の調査によれば、高校生全体の「性交経験率」は、’17年時点で約16%と、’05年(約28%)との比較で1割以上減っています。
◆キスもセックスも“女子先行” 減少傾向は男女とも同じなのですが、実は経験率が’05年に男女で逆転し、いまや女子高生のほうが男子高生より、経験割合が6%ほど高い状況です。 とくに’00年代生まれのZ世代は、キスも性交経験も“女子先行”が際立っているのが見てとれます(図表1)(’19年「現代性教育研究ジャーナル」No.94)。 あくまでも推測ですが、おそらく性に活発な一部の年上男性(大学生など)が、一人で複数の女子高生を相手にするため、女性の間で「早熟派」が増える、でもそうした男女は一部にすぎず、全体で見ると「未経験派」が多くなる、との状況ではないでしょうか。 ちなみに、「出生動向基本調査」(第16回/’21年)で、性経験のある未婚者の割合を見ると、30~34歳では、男女とも6割前後(男性62.8%/女性55.6%)に留まります。 裏を返せば、4割前後の男女は30~34歳時点でも、性経験がゼロなのです。
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