飛行機内で「CAにセクハラするおっさん」を全滅すべき根本理由
米国のCAセクハラ実態
セクシュアルハラスメント(セクハラ)という言葉は世の中に浸透し、企業では減少傾向にある。しかし、飛行機内でのセクハラに関してはそうもいえなさそうだ。 【画像】えっ…! これがJALの「年収」です(計13枚) 2018年のデータだが、米国の客室乗務員協会(AFA)は ・約70%の客室乗務員(CA)がセクハラを経験している ・そのうち約7%しか会社に報告していない と公表した。米航空会社29社に勤務するCA3568人を対象に調査が行われたもので、データはCAの男女比(女性80%、男性20%)に応じて集計された。 機内でのセクハラ問題は見過ごされがちだ。5月14日には、ANAホールディングスがカスタマーハラスメント(カスハラ)の対応マニュアルを作成したと、読売新聞が報じたことも話題となっている。5月22日には、和歌山県の会社員が女性CAに抱きつきキスをしたとして、強制わいせつ未遂の疑いで警視庁東京空港署に逮捕されたことも記憶に新しい。 セクハラは個人の尊厳や人格を著しく傷つける行為であり、それを受けた結果、憂鬱(ゆううつ)な気分にさいなまれるCAもいる。恐怖感を植え付けられる者さえいるのだ。 元CAである筆者(森内智子、航空ライター)は、これは看過できない事態だと感じている。
セクハラは5パターン
セクハラは、次の五つの形で現れる。ひとつずつ説明しよう。 ・高圧的な態度 ・性的な発言 ・身体的な接触 ・侮辱的な態度 ・反抗的な姿勢 「高圧的な態度」とは、相手を見下したり威圧したりすることで、自分の行動基準に従わせようとすることである。例えば、「怒鳴る」「きつい言葉を使う」などだ。「性的な発言」とは、性的な内容の発言や性的な事実関係をたずねることだ。「身体的な特徴について発言すること」「卑猥な言葉を投げかけること」などが挙げられる。「身体的な接触」とは、不必要な身体的接触を指す。故意に相手の身体に触れる行為が該当する。「侮辱的な態度」とは、相手の尊厳を傷つける態度のことだ。例えば、身体的特徴をからかうことが該当する。「反抗的な態度」とは、反抗する気持ちを態度や言動に表すことだ。規則に従わず、反抗的な態度で示すことが挙げられる。 一例を挙げよう。ある離陸時、CAは乗客に足元の大きな荷物を収納するよう求めたが、乗客は断固として拒否した。大声で叫び、CAを威嚇した。出発時刻が過ぎ、CAは警告書を読み上げた。事態の深刻さを理解したのか、乗客は渋々手荷物を収納することに同意した。また、こんな事例もある。乗客が酩酊(めいてい)状態でCAの臀部(でんぶ)を繰り返し触り、目的地到着後に警察に引き渡された。 セクハラは主に 「50代から60代の男性」 によって行われる傾向がある。これまでセクハラが見過ごされてきたことも一因だろうが、時代錯誤も甚だしい行為だ。