日立システムズ、「SCM 企業間連携サービス」の提供を開始
日立システムズは12月16日、小売業や製造業などにおいて企業間で販売実績や在庫、物流などのデータ(各種データ)を共有し、サプライチェーン全体でのDX推進が可能な「SCM 企業間連携サービス」の提供を開始すると発表した。 SCM 企業間連携サービスは、サプライチェーン上の各社がそれぞれ保有している各種データを共有することで企業のDX推進を阻むデータの「サイロ化」を解消し、データの見える化を実現。適切な在庫量の調整や販売機会ロスを防ぎ、需要に基づく生産・発注計画の立案につなげることができる。また、運用費用は月額20万円からと低価格のため、中堅・中小企業でも比較的導入検討がしやすく、経費削減、売り上げ拡大、利益向上に貢献する。 労働人口の減少、環境問題、生産性の低迷など、企業はさまざまな社会問題に直面しながら、事業を拡大し、企業価値を高めている。これらの社会問題に向き合いながら、持続可能な事業継続を実現するためには、データを基にしたサプライチェーンの効率化が必要となる。これまで多くの企業では、単独で取り組むケースがほとんどだったが、単独でのSCMは難しくなりつつあり、サプライチェーン全体の企業で取り組むことが重要となっている。また、従来のSCMの取り組みは大企業やグローバルベンダーを有する企業では進んでいるが、中堅・中小企業では費用面などで投資が難しく、従業員の勘と経験に頼った運営が依然として多い状況である。 こうした背景から今回、効率的なSCMを実現することを目指し、中堅・中小企業でも導入可能なSCM 企業間連携サービスを開発した。同サービスは、中堅・中小企業向けにセキュアでコストパフォーマンスに優れたOracle Cloud Infrastructure(OCI)とプライベート接続され、企業間で保有している各種データの共有を実現し、複数のシステムにまたがる情報を一元管理する。共有されたデータは、アクセス制御の範囲内でサプライチェーン上の各企業がリアルタイムで参照可能。また、基盤上にはデータ参照と需要予測、生産計画などのオプション機能を用意しており、それらを活用して各業種のDX推進を支援する。日立システムズの豊富な経験とノウハウを結集したコンサルテーションやSIサービスもセットで提供し、顧客の経営課題や現場の課題解決へ導く。 同サービスは小売業、卸売業、製造業、物流業といった幅広い業界や、中小企業から大企業までさまざまな規模の顧客に導入が可能。日立システムズが実施したPoC(概念実証)によると、サプライチェーン全体では、某スーパーマーケットは年間売り上げが約7000万円の増加、PB(プライベートブランド)日配品製造会社は、約6000万円の増加となった。生産計画最適化によって確保された生産余力は販売機会ロス分を補填し、生産から販売活動全般にわたるパフォーマンス向上が期待できる。 今後は、顧客のニーズをもとに、物流効率化、配送計画適正化などのオプション機能を充実させ、顧客のDX推進に貢献する。また、顧客の業務をシームレスにサポートするマネージドサービス群である「Hitachi Systems Managed Services」や、日立システムズグループ会社のリソースと連携し、運用をトータルでサポートしていく。 SCM 企業間連携サービスの税別価格は、初期費用が個別見積もり、月額費用が20万円から。日立システムズは、同サービスの拡販に注力し、27年度までに累計10億円の売り上げを目指す。