創業2年で宇宙ロケット テンポアップの開発に“工夫”あり【WBS】
創業2年の宇宙ベンチャーが、離陸だけでなく着陸もできる「再使用型ロケット」の開発を発表しました。テンポ良く開発を推し進められる背景にはスタートアップならではの工夫がありました。 創業2年の宇宙スタートアップ「将来宇宙輸送システム」は14日、現在開発中の小型ロケットの計画について発表しました。目指しているのは、着陸もできる再使用可能なロケットです。 実は、現在開発中の機体はおよそ4メートルと超小型で、年明けに行う離着陸試験は高さ10メートルで行います。将来宇宙輸送システムでは今後、段階的に機体を大きくし、2040年代には人を乗せて地球のどこでも1時間半以内で移動できることを目指します。 宇宙業界では長期間かけて大きな完成品を作ることが一般的だといいますが、小さなものを開発した意図について、将来宇宙輸送システムの畑田康二郎社長は「短いサイクルで世の中に出しながら、世の中の変化や新しい技術を取り込んで、進化させていくことを大事にしている。スタートアップは小さく失敗して、賢く学んで、素早く成長していく。そこに長けているのが、われわれの売り」と話します。 長部稀キャスターがオフィスをのぞいてみるとーー。 「今ちょうど、このモニターで作業している」(長部キャスター) 「そうです。今映っているのは飛行解析のロケットがどう飛んでいくのか、軌道を計算しているシミュレーション結果」(畑田社長) 将来宇宙輸送システムでは開発に関する全ての過程をデータ化し、解析。こうした取り組みも業界では珍しいといいます。また、使い捨てではない最新型のロケットなら頻繁に試験を実施できるため、情報が蓄積され、迅速な開発に繋がるといいます。 「このシステムは違った試験になったときに応用はできるのか」(長部キャスター) 「どんどん試験を繰り返していくほど、データの資産がたまっていく」(畑田社長)
“アジャイル型”開発とは
「宇宙スタートアップの開発の速さを可能にしたのが、アジャイル型開発と呼ばれるものですね」(相内優香キャスター) 「開発方法には最初に全てを計画をして完成するやり方の『ウォーターフォール型』と小さいユニット単位でそれを繰り返していく『アジャイル型』の2つのやり方がある。アジャイル型に関してはIT業界、ソフトウェア業界などで昨今よく使われている手法になっている。それがスタートアップ型の製造業など一部の適した業界で活用され始めている」(コメンテーターのマクアケ共同創業者/取締役の坊垣佳奈氏) 「臨機応変に変化していくもの作りが重要視されているのはなぜですか」(相内キャスター) 「環境変化が激しくなっていることに加え、IT化が進んだことでユーザーの声に柔軟に応える必要性というのが出てきている。例えば私が運営しているマクアケでも、複数の同じような事例が見られている。リクシルやキヤノンなどではテストで作ったものをまずはマクアケに掲載しユーザーの反応を見て、その声を生かしてさらに改良を進めて製品開発に落とし込んでいる」(坊垣氏) 「最初から完璧な製品を出さないということですね。アジャイル型開発はどの製造業にも当てはまるものなのか」(相内キャスター) 「デメリットもある。全体のスケジュール管理やコスト管理が難しくなり、どうしても方向性がずれやすくなる。製造業においては古くから製造工程が固定化しているもの、もしくは均一の品質が完璧に求められている現場での導入は非常に難しい。無理に導入するとかえって効率が下がったり、コストがかさんできてしまうこともあるので慎重な検討が必要だ」(坊垣氏) 「アジャイル開発が成功するために重要なことは」(相内キャスター) 「目的とメリット、デメリットをしっかり理解して進めること。できればチームの中に経験者がいるといい」(坊垣氏) 「しっかりと方向性を示す人が必要だということですね」(相内キャスター) ※ワールドビジネスサテライト