ミカン栽培の風害対策にネットのみ設置「目的を達していない」…長崎県への国庫補助金は「不当」
会計検査院が6日に公表した2023年度の決算検査報告で、長崎県が設置したミカン栽培のための防風施設について、防風の機能が確保されず、「工事の目的を達していない」として、県が受けた国庫補助金1144万円が不当と指摘された。 【写真】会計検査院
報告書などによると、県は同県佐世保市宮津町と川棚町新谷郷の2か所で、防風施設の整備を計画。ネットと生け垣を設置する予定だったが、工事発注時の設計図に生け垣に関する事項を盛り込んでいなかった。このため、ネット(高さ5メートル、長さ計168メートル)のみが2021~23年度に設けられ、風害対策に必要な機能が確保されない状態となった。
県農村整備課は、指摘について「ネットの効果を見てから生け垣を置こうと考えていた」としつつ、「現状として『防風になっていない』と言われると申し開きできない」と説明。今年度中に生け垣を整備し、機能を高める方針という。
このほか、平戸市が22年度に実施した落石対策工事について、必要な調査を経ずにワイヤロープを配置しており、交付金269万円が不当とされた。市は今後、補強工事を行う。
また、公営住宅の家賃低廉化事業を巡り、費用が過大に算定されていたとして、壱岐市が18~21年度に受けた交付金2658万円も不当と認められた。市は過大分を国に返還している。