「脱炭素電源の確保が経済成長に直結する」日本は再エネと原子力発電の両立を実現できるのか【2025年ニュース展望】
脱炭素進まぬなら日本での生産が縮小も? 産業界の危機感
経済同友会は提言の中で「企業は脱炭素化コストが安く、脱炭素化が進んだ地域に集まり、競争力のある製品やサービスを提供する。日本もそうした地域の仲間入りをし、立地拠点としての魅力も増して、産業活動の場として選ばれるよう、いま動き出さなくてはならない」と危機感を示している。 さらに、政府の会議の中では産業界から脱炭素電源が進まない日本についてこんな踏み込んだ意見も飛び出した。 「脱炭素の実機化は海外で行って、脱炭素に貢献し、国内では生産を縮小することでCO2の発生を削減する。こういった選択にならざるを得ない」 こうした“脱炭素需要”の中で政府が、すぐに使える資源に乏しく、地理的に大きな制約を抱え、エネルギー供給構造上の脆弱性がある日本で、再生可能エネルギーとともに重要だとするのが、発電量が天候に左右されず、大規模かつ安定的に“脱炭素電気”を供給できるという原子力発電だった。 こうして次期エネルギー基本計画では脱炭素電源として、再生可能エネルギーと原子力を「2項対立を越えてともに最大限活用する」ことになった。 日本のエネルギー政策の大きな転換点を迎えた2024年。電力需要の増大が見込まれる中、脱炭素と安定供給の両立は実現するのだろうか。 (執筆:経済部 杉山和希)
杉山 和希