楽天、阪神が挑む「育成と勝負」は両立するか
交流戦の戦いの中で若手起用を積極的に推し進めたのが楽天と阪神だ。 楽天は、ドラフト1位のオコエ瑠偉外野手(18)、3位の茂木栄五郎・内野手(22)、2位の吉持亮汰・内野手(22)、6位の足立祐一・捕手(26)とルーキーを4人もラインナップに並べ、3年目の大器、内田靖人(21)もスタメン起用するなど、平均年齢24歳というフレッシュな戦いで、交流戦を3連勝で締め、11勝7敗で勝ち越し、交流戦前からの借金を4つ減らした。だが、トータルでは、まだ借金「10」だ。 開幕から「超変革」を掲げて、次から次へと投打に若手を抜擢。当初、ドラフト1位の高山俊外野手(23)―3年目、横田慎太郎(21)の1、2番コンビで旋風を巻き起こしていた阪神は、ゴメスの絶不調によるスタメン落ちも手伝って、交流戦の終盤には、下からあげたばかりの6年目、中谷将大(23)、怪我で出遅れた5年前のドラ1の伊藤隼太(27)も即スタメンで使い、20日のオリックス戦では、育成上がりのシンデレラボーイ、原口文仁(24)を「3番・一塁」で起用。その原口が決勝アーチを描いた。 だが阪神は、積極若手起用がなかなか勝敗に結びつかず、交流戦は7勝11敗と負け越した。先日の阪神の株主総会では「こういう若手起用を待ち望んでいた」と株主から支持を受けたが、借金は「4」。楽天同様、苦しい戦いが続いている。 楽天と阪神が推し進めている若手起用の育成と、ペナントレースを勝ち抜くという勝負は、やはり両立しないのか。それとも両立させることができるのか。 交流戦最中に、楽天の梨田監督にぶつけたが、「若手への切り替えを意識しているわけでなく、故障者が続出しているチーム事情の中でベストの戦力で戦っている。若手起用という点では阪神とは似ているかもしれないが」と、両立するともしないとも答えはなかった。 楽天のフロントサイドはこんな話をしていた。 「ハッキリ言って育成と勝負の両立は難しいでしょう。今、我々は、故障者や不振など想定外の出来事が多くて、AプランからBプランへの戦いの変更を余儀なくされています。来季に向けて若手主体に切り替えたわけではありません。ただ、この間、1軍を経験した若手が力をつけて、ここからベテラン、中堅、外国人選手を軸とするチーム状態に整備しなおされてきたときに、彼らがプラス戦力としてチームを押しあげる、もしくは、実力と結果でレギュラーを奪ってしまうという状態になるのが望ましいのです」