標準家庭で電気代・月836円負担増…「再エネ賦課金」値上げの理由、日本における再エネの現状は? 専門家が解説
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。3月28日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「再エネ賦課金(ふかきん)の引き上げで電気代が値上がり」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
◆「再エネ賦課金」とは?
家庭向け電気料金が、大手電力会社10社全てで4月の利用分から値上がりする見通しであることがわかりました。再生可能エネルギー普及のために電気料金に上乗せされている「再エネ賦課金」の引き上げが電気代に影響するということで、家計への負担が増えることになりそうです。 ユージ:塚越さん、電気代の値上げに影響する”再エネ賦課金”ついて、改めて教えてください。 塚越:まず再エネには「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」というものがあります。これは太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった再エネによって発電した電気を一定期間、固定価格で電力会社などが買い取ることを義務付けるもので、2012年から開始された制度です。 この制度によって、買い取りにかかった費用が電気料金の一部として、すべての世帯で価格を上乗せされるというもの。これが「再生可能エネルギー発電促進賦課金」、通称「再エネ賦課金」です。支払額は契約している電力会社や住んでいる場所にかかわらず、一律同じ料金です。
◆一般的な家庭は月に800円以上の値上げ
吉田:今回の“再エネ賦課金”の引き上げによる、家計への影響はいかがでしょうか? 塚越:経産省が3月19日(火)に発表したところによると、再エネ賦課金は1キロワットあたり3.49円。標準的な家庭、月400キロワット使用する標準的な家庭で計算すると、前年度に比べて836円増えて月額1,396円と、去年よりかなり増えています。 ユージ:月800円以上の増加って、けっこうな負担額ですよね。 塚越:そうですね。ただ、これは前年の2023年度がそもそも大幅に減額されていたという背景もあります。昨年度は火力発電の燃料費高騰で販売収入が増える見込みがあったため、そもそも賦課金を(一般的な世帯では)月額560円と2015年度に近い額に下げていたという事情があります。 再エネ賦課金は、経済産業省が特別措置法で決めた方法で毎年度決定します。簡単に言うと再エネで発電した電気を(送配電)事業者が買い取る費用と、買い取った電気を売る収支を計算して決めていきます。 今年度は化石燃料の価格が落ち着くことで電力の市場価格も下がる。すると再エネ電力の販売価格も下がって、電力会社の販売収入が減る見通しになります。簡単に言うと“あまり儲からない”ということになるので、今年度から元の水準に引き上げるということです。これ、電力会社の収入の問題になってしまっている点が難しいところですね。 いずれにせよ、再エネ賦課金は去年を別にすれば年々金額が上がっていて、2022年度は1キロワットあたり3.45円で月額1,380円。今年度はこの数字を少し上回っていて、高値になっています。