「自分らしさ」という言葉に悩まされた――日向坂46の「笑顔の太陽」丹生明里が乗り越えた自信のなさ
「丹生ちゃんらしく」って、なんだろう?
活動のなかでは、時に「常に笑顔の丹生明里」のイメージに悩むこともあったという。 「『丹生ちゃんらしくていいね』や、『丹生ちゃんにはこうであってほしい』という言葉をいただいたとき、『確かに!』と思う一方、楽しくしているアイドルの私と普段の自分との差を感じていて。『求められている自分と、普段の自分、一体本当の私はどっちだっけ? “丹生ちゃんらしく”って言われても、それは一体何だろう?』と思っていました」 常に前向きで天真爛漫なアイドルとしての丹生明里、人の目を気にしてしまいがちで自信が持てない普段の丹生明里。どちらも本当の自分なのは間違いない。ただ、片方の面が自分の全てと捉えられることが、悩みを深いものにした。 「スタッフさんに相談したとき『アイドルとしての丹生明里と、普段の一人の丹生明里を分けられるようになったらいいね』と言われたんです。確かにアイドルをお仕事として考えると、それは納得だなあと思いました。けど、分けるのも難しい。アイドルの私も本当の私だし、家にいる私も本当の私。しばらく、『自分らしく』という言葉に悩まされた時期がありました」
周りに流されず自分に誠実であるべきと謳う「自分らしく」というフレーズ。生きる上で大切と喧伝(けんでん)されるこの言葉は、丹生にとっては自分を見失わせる言葉になった。今も自分を語る適切な言葉は見当たらないという。だが徐々に、自分のありたい形が見えてきた。 「私の名前、おばあちゃんが『みんなを太陽のように明るく照らしてほしい』という願いを込めて付けてくれたんです。やっぱ私はアイドルでも普段でも、そういう人になりたいんです」 目指す自分には全然達していないと自嘲する。ただ以前のように悩まなくなった。シンプルな自分でこの活動を楽しめるようになったからだ。祖母の思いの通り、彼女の明るさはメンバー、ファンに注がれている。 「ちゃんと笑顔にできているのかな? ん~、できていると言いたい(笑)。けど、正直まだまだ。もっとたくさんの人を笑顔にしたいです」