「自分らしさ」という言葉に悩まされた――日向坂46の「笑顔の太陽」丹生明里が乗り越えた自信のなさ
今年3月30、31日の2日間にわたり、長年「夢」として掲げていた東京ドームでの単独ライブを成功させた日向坂46。二期生の丹生明里(21)は、持ち前の愛嬌と純粋さを全開にし、バラエティー番組へのレギュラー出演や、声優活動など、ソロでの活躍が特に目覚ましいメンバーだ。しかし、常に絶やさぬ笑顔の裏では、アイドルと普段の自分の「差」から生まれる「自分らしさ」に悩んだこともあったという。彼女が導き出した「丹生明里」という存在のありかたとは。(取材・文:田口俊輔/撮影:佐々木康太/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
「なんで私なんかを呼んでくださったんですか?」
常に笑顔を絶やさない性格から、メンバーとファン双方から「太陽」と称される二期生の丹生明里。その愛されぶりは近年の活躍にも表れている。数多くのバラエティー番組出演にとどまらず、劇場版アニメ『DEEMO サクラノオト』では物語のキーとなるキャラの声優に抜擢され、アニメ『みんなのまめお』の原案と主要キャラの声優を務めるなど、その活動の幅を広げ続けている。バラエティー番組では、芸人に「推し」と言われて可愛がられることも多い。続々と届くラブコールの理由はどこにあるのだろうか? 「なんででしょう? 強いて言うなら、呼んでいただいている方々との共演回数が多いからですかね。あ、初めて呼んでいただく番組もありますよね。そうだなあ……名前が珍しいからかな?」 こう真顔で答えた。名前が珍しいという一点で活動の幅を広げ続けるならば、それもまた特筆すべきことだろうが……。 「『なんで私なんかを呼んでくださったんですか?』って、私が聞きたいぐらいです~。……あ~、こういうことをすぐ言っちゃうんです」 こう告げた後、丹生は少しばつが悪そうな顔をしてウフフと笑った。
高校1年生のころ、友人の勧めで欅坂46(現:櫻坂46)の存在を知り、『サイレントマジョリティー』の歌詞に勇気づけられた。人が喜ぶ姿が好き、笑顔を届けたいという思いは巡り巡って、自らがアイドルとしてデビューするという形で実を結んだ。ファンとの交流や応援の手紙を通じて、それぞれの思いを受け取ることで、自分の願いがかなっていると実感する日々。メンバーもまた彼女の存在が救いになる。濱岸ひよりがかつて番組『セルフDocumentary of 日向坂46』(TBSチャンネル1)で、「気分が落ち込んでいても、丹生ちゃんを見ると笑顔になれる」と語ったことが全てだ。 「普段も楽屋でもすごくうるさいんです。おしゃべり好きなので、話し出すと止まらないし、だんだんテンションも上がってきて。自分でも『もう、うるさ~い!』っていうぐらい(笑)」 しかし、「太陽」と称される彼女は、今なお自分には自信がないと素直に口にする。