ベースは極上2002 クーペ BMWガルミッシュ(2) 現代のカロッツエリアが見事に再現
番外編:量産されなかったBMWのデザイン
■テーマカラーになったオレンジ色(写真左上) BMWでチーフデザイナーだったポール・ブラック氏が、キーカラーとしたオレンジ色。彼は以前に、フランス空軍が使用する滑走路のそばにスタジオを構えていた。そこを飛ぶ練習機は、翼端がオレンジ色に塗られていたそうだ。 1972年に2002 ターボをデザインした頃、彼は自身のポルシェ356をレッドに塗装。柔軟なプラスティック製バンパーは、安全性を意識してオレンジ色に塗られた。 ガルウイングドアのコンセプトカー、E25ターボもレッドとオレンジ。BMWはセーフティカーと呼んでいる。ブラックは、量産を意識していたと説明する。 ■ピニンファリーナによる6シリーズ(写真右上) ピニンファリーナによるアルファ・ロメオ164に似たクーペながら、フロントにはキドニーグリルがある。イタリアのデザインスタジオは、最初のクライアントが提案を断ると、似たデザインで別のクライアントへ提案することがあった。 1980年代初頭、次期6シリーズとしてBMWがこのデザインを量産していたら? アルファ・ロメオからは、違ったサルーンが提供されていたことだろう。 ■1シリーズのベース(写真左下) 1990年代、BMWはガラス繊維のコンポジット素材を量産車に使用できないか検討していた。その頃、デザイナーのアンドレアス・ザパティナス氏は、2002に似た2ドアのクーペを創案していた。 この2つは、当時の3シリーズでプロトタイプ化。車重1000kgを切る、軽量なクーペへ仕上げられた。このアイデアをベースにしたのが、初代1シリーズ。デザイナーは、クリス・チャップマン氏だ。 ■ロールス・ロイス買収以前の高級車(写真右下) 1990年代、BMWは7シリーズを超高級市場へシフトする方法を模索していた。社内デザイナーは、それがどんな容姿なのかを想像。その1人、永島譲二氏は堂々としたフロントグリルを備えた、ビッグサルーンを描き出した。 V12エンジンを、エンブレムが誇り高く主張。その迫力は、もはや9シリーズと呼べた。ZBFという名のコンセプトカーとして、走行可能なプロトタイプが作られている。
AUTOCAR UK(執筆) 中嶋健治(翻訳)