【車両重量920kg】 第4世代スズキ・スイフト クルマとの対話を楽しむMT仕様のコスパ良し
コンセプト踏襲の進化版と呼べるモデルチェンジ
「スイフト」の最新モデルとなるのは2023年12月17日に発売となった第4世代だ。 【写真】スズキ・スイフト試乗の様子をみる (43枚) 「スイフト」は、2004年に誕生した初代から現在までの約20年で世界累計約900万台が販売されてきたスズキの主力モデルである。軽自動車を除く登録車として、2023年において日本国内で「ソリオ」に次いで多く売れたのが「スイフト」となる。 新型である第4世代のコンセプトは「エネルギッシュ×軽やか 日常の移動を遊びに変える洗練されたスマートコンパクト」だ。歴代モデルのデザインと走りを継承しつつも、日常の使いやすさにも力を入れたという。 デザインでは、歴代モデルの特徴を継承することで、「スイフト」らしいスポーティさを再現している。骨格は先代と同じ「HEARTECT(ハーテクト)」プラットフォームを踏襲。 全長3860×全幅1695×全高1500mm、ホイールベース2450mmは、先代より全長が15mm伸びただけで他の寸法は変わらない。パワートレインには、新開発した1.2Lの3気筒Z12E型エンジンと、CVT、そして5速MTを組み合わせる。 エンジン出力は82ps/5700rpm、最大トルクは11kg-m/4500rpm。エントリーグレードはエンジン車のみとなるが、ミドルと上位グレードには2.3kW(3.1ps)のモーター(ISG)と小さなリチウムイオン電池を使うマイルドハイブリッドとなる。駆動はFFと4WD。価格は172万7000円~233万2000円だ。 デザインとパワートレインは新しくなったものの、プラットフォームや寸法は、ほぼ先代のまま。内容一新という斬新な変革ではなく、先代を磨きあげた正常進化というフルモデルチェンジだ。
小さなパワーを自由自在に操つる楽しみ
「スイフト」には、国内乗用車として少数派となる5速MTが存在する。その走りは、先に結論を述べると、“運転好きを満足させる楽しさがある”というものだった。 ただし、「スイフト」のMTの楽しさは一筋縄ではない。困惑と喜びが交互にやってくるのだ。まず、走り出す最初の一瞬に味わうのは困惑だ。残念ながらクラッチミートのポイントが曖昧なのだ。スパッと気持ちよくつながらない。しかし、そのおかげか、相当に適当、ラフにクラッチミートを行ってもエンストはしないし、飛び出すような不躾な動きない。非常に扱いやすいのだ。 また、スズキ曰く「先代よりもトルクフルになった」という3気筒エンジンは、それでも3000回転以下では満足なトルクを提供してくれない。 ずぼらに変速を怠ると、なんともかったるい動きしか見せないのだ。しかし、意識的にマメな変速を行えば、まったく違った俊敏な動きが可能となる。気持ち低めのギヤを選ぶことがポイントだ。これで、ぐっと運転が楽しくなる。 そういえば、ハイブリッドが普及する前、しかもMTが標準的だった時代は、ドライバーは常にエンジンのトルク変動に気を配り、それに最適なギヤを選ぶことが当たり前であった。そうやってクルマと対話することが、運転する楽しみのひとつでもあった。そんな楽しみを「スイフト」のMTであれば、令和の今に味わうことができるのだ。