日産の新中計「3年間で100万台増販」の現実味、成長戦略を打ち出すが部品会社からは厳しい声
日産の中国販売は2018年の156万台から2023年の79万台へと縮小している。足元で上向き傾向にある北米と異なり、2024年1~2月も微減と上向く気配が見えない。 中国は市場全体でEVとPHVを合わせた新エネルギー車(NEV)の販売が急増しており、2023年には市場全体の4割近くがNEVになった。この流れについていけなくなった日米欧メーカーはどこも苦戦している。 日産は8車種のNEVを投入し反撃する。中国のユーザーのニーズに即応するために、8車種のうち5車種は合弁パートナーである東風汽車から供給を受ける。「中国の開発で、中国のお客様のスピードにあった仕様を提供していく」と内田社長。
そのほか、日本でも9万台増、アフリカ、中東、インド、ヨーロッパ、オセアニアで合計30万台増とそろばんをはじく。 もっとも、100万台増の計画達成には懐疑的な声が多い。 前出のサプライヤー首脳は「この2~3年、日産からは年間400万台の生産計画を伝えられていたが下方修正し続けていた。台数については保守的に見ざるを得ない」と冷ややかだ。日産との取引が多い別のサプライヤーの経営企画部長も「日産さんの数字をそのまま信用するとひどい目に合うので、8割といった数字で考えないといけない」と切り捨てる。
日産が強気の台数目標を打ち出すには、そうせざるを得ない事情がある。 ゴーン時代の拡大戦略の結果、グローバルでの年間生産能力は一時、720万台まで膨れ上がった。その後、インドネシアやスペインで工場を閉鎖し生産能力は540万台まで減らしたが、販売台数も2017年度の577万台から2023年度(見込み)の355万台まで低下したことで生産台数が減少。足元の平均稼働率は68%と低迷している。 サプライチェーンを含めて地域経済への影響が大きいため、自動車工場の閉鎖は簡単には実行できない。稼働率を改善するには生産・販売台数を引き上げるしかない。