寒い冬だから熱ものも? 中国で「冬将軍」到来
【東方新報】中国でも冬将軍が暴れている。11月末には各地で下半期の最低気温を更新する寒さとなった。元々寒い東北地方や内モンゴルなどでは最低気温がマイナス15度以下、冷気はさらに南下するとして、外出の際には帽子や厚手の手袋を着用し凍傷に気を付けるよう呼び掛けられた。 気温が冷え込めば、暖を取るための消費が温まる。ある家電ショップでは、11月に入り全国の実店舗での暖房器具の売り上げが前月の4倍以上伸びたという。やはり定番の石油ヒーターがよく売れた。一方、あるeコマースのサイトではインソールヒーターや電熱マフラーなど、新型暖房器具も前月比で2倍以上売れたという。 寒い時期には鍋が恋しくなる。首都・北京で好まれる鍋は羊のしゃぶしゃぶだが、鍋専門店で午後5時に行列ができている光景はもう珍しくはない。 サウナやスパも寒風の中の人気スポット。中国の大型スパは、温泉やジェットバスのみならずテレビや映画を見ながらのマッサージサービス、麻雀ルームや子供のプレイルームまで備えている施設も多い。施設内で浴衣のまま食事や酒も楽しめて一日中滞在しても飽きさせない。北京市のスパ付きホテルの支配人によれば、一日の利用客は約500人で、客の7割を若い家族が占めるという。 廉価な日用品や衣服の卸売りで知られる浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)の一部の業者は、海外市場を見込んでデザイン性と保温性を備えた細分化された商品を扱っている。市内の国際商貿城で電熱手袋を買い付けていたのはヨルダンから来たというバイヤー。中東市場では10元(約201円)から20元(約403円)の製品が人気だそうだ。 義烏の商務部によれば今年1月から10月までで、電熱手袋、湯たんぽやホットカーペットなどの暖房器具の輸出額は、前年同期比30パーセント増の合計5億2000万元(約104億9818万円)に達したという。 ダウンジャケットは今年の11月11日の「双11(独身の日)」安売りキャンペーンでよく売れた商品の一つだが、毎年、売れ行きと並んで熱を帯びるのが「値段が年々高くなっている」という話題。その肌感覚は間違っていない。中華全国商業情報センターによれば、2015年から2020年まで中国のダウンジャケットの平均価格は実際に438元(約8842円)から656元(約1万3243円)に上昇している。コートのような厚手で大きいものだと7割以上が2000元(約4万377円)以上するという。 ダウンの価格上昇の原因について、製造業者の一人は「多くのブランドが高級路線に走り、ホワイトグースのような高品質の原料を多用するようになったためだ」と話す。デザイン性のみならず防風や防寒における機能性も向上しているというから、高額化の流れは今後も続きそうだ。 そんな中、SNSで話題になったのが、大学の授業に現れた数人の大学生がそろって深緑色の軍用コートをまとっていたという映像。200万近い「いいね」を集めた。 軍用コートは、寒風にさらされる警備員や工事現場の作業員などの愛用品で、今どきの若者が好むようなおしゃれ感はゼロ。それを着ていた学生は苦学生を連想させたが、実はダウンジャケットが買えないわけではなく、100パーセントウールで毛皮もつきながら400元(約8075円)余りで買える軍用コートは、コスパがいいと考えたようだ。意外にもその軍用コートが一部の若者の間では今、熱いらしい。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。