孫は法定相続人ではないって知っていますか? 孫に相続財産を残す3つの方法
孫(代襲相続人を除く)は法定相続人ではないので、祖父母の財産を相続できません。 孫に相続財産を残すためには、「遺言書を作成する」「孫と養子縁組をする」「孫を死亡保険の受取人にする」など生前に準備する必要があります。本記事で、それぞれの方法のメリット・デメリットを解説します。
遺言書を作成する
孫(代襲相続人を除く)は、法定相続人ではないので、そのままでは孫に相続財産を残すことができません。遺言書を作成することが必要です。遺言書には、主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。 「自筆証書遺言」は遺言者が遺言書の全文、日付を自署で作成し署名押印して作成します。財産目録については、パソコンやワープロで作成できます。 いつでも好きなときに作成でき、遺言の内容を秘密にでき、費用がかからないというメリットがあります。 一方、デメリットとしては、紛失や破棄などのリスクがある、検認手続きが必要、日付が入っていないなどの遺言書の不備により無効になるリスクなどがあります。 そこで、法務局の自筆証書保管制度を使えば、遺言書の紛失や破棄などのリスクを防ぐことができ、検認も不要です。遺言が無効になるリスクを回避するには、「公正証書遺言」が有益です。「公正証書遺言」は遺言の内容を公証人が筆記します。 メリットは、遺言が公証人役場に保管されるので、紛失や破棄などのリスクがありません。法律の専門家である公証人が作成するので、遺言が無効になることがほとんどなく、検認も不要です。デメリットとしては、手間や費用がかかり、証人2人の立ち合いも必要になります。 いずれの遺言書作成についても、遺留分(相続人の最低限の取り分)を侵害しないように考慮することが必要です。相続人が遺留分を侵害された場合、その相続人は「遺留分侵害額請求」をすることができ、遺言が希望どおり実現されない可能性があります。
孫と養子縁組をする
孫と養子縁組をすることで孫は実子と同じ立場となり、確実に相続財産を受け取ることができます。また、相続税法上、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人)の法定相続人数に孫養子を含めることができるので、相続税の節税にもなります。 ただし、不当な節税を防止する観点から、相続税の計算上、法定相続人の数に含むことができる養子の数には上限があります。実子がいない場合は2人、実子がいる場合は1人までです。 被相続人の養子は、一親等の法定血族であることから、相続税額の2割加算の対象になりません。ただし、被相続人の養子となっている被相続人の孫(代襲相続人を除く)は、相続税額の2割加算の対象になりますので留意しましょう。