17世紀の哲学者が教える、会話で言いたいことが伝わる人と伝わらない人の違いとは?
他者とのコミュニケーションのなかで、自分が言いたいことを言い出せずに結局飲み込んでしまう……そんな場面を経験した人は多いのではないだろうか。ビジネスでも日常でも、意見をうまく伝えられる人とそうでない人の違いとは何なのか?17世紀の哲学者・バルタザール・クラシアンの言葉にそのヒントがある。※本稿は、バルタザール・グラシアン著、齋藤慎子訳『バルタザール・グラシアンの賢人の知恵 エッセンシャル版 クラシックカバー』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 会話の知恵1 わかりやすく、はっきりと話す 人と話すときは感じよく、わかりやすく話すようにしよう。 伝えたいことを心の中に抱くのは簡単でも、言葉にして生みだすのに苦労する人がいる。知の産物、つまり考えや意見には、生みの苦しみがともなって当然。大きな図体の割にほんの少ししか中身がないような人もいれば、思った以上に多くのものをとうとうと話す人もいる。 はっきりと話す人は評価され敬われる。きちんと理解されるからだ。平凡に見られまいとしてわかりにくい言葉で話す人は理解されにくい。話し手自身がちゃんと理解していないことを、聞き手が理解できるはずがない。 ● 会話の知恵2 誇張しない 大袈裟なもの言いは絶対に避けるべきだ。誇張はたいてい事実そのものではないわけだし、ばかばかしい意見だと思われるのを避けるためでもある。話に尾ひれをつければ、話す内容は品に欠けてしまい、たとえそれが正しい見解であっても相手にはそうは思ってもらえない。 人も物事もほめちぎれば期待は非常に高まるが、期待はずれだった場合、ほめられたほうもほめたほうも値打ちを下げることになる。控えめにし、節制に努め、意見は慎重に調整しよう。
誇大表現はうその一種。誇張して伝えれば、正しい判断力のある人という評判も危うくなるだろう。 ● 会話の知恵3 簡潔に話す 簡潔に話せば、聞き手が喜ぶだけでなく、もっといいことがある。手短に表現することで、良いことはさらに良く、悪いことはさほど悪くないように相手に伝わるのだ。 無駄口をくり返していると、本当は何もわかっていないと人から思われるのがオチだ。人をうんざりさせるタイプは仲間にとっても邪魔者なので、気がついたらのけ者にされているだろう。 また、目上の人にとってけむたい存在とならないように気をつけること。目上の人をいらいらさせることは、すべての人をいらいらさせるくらい迷惑なことなのだ。彼らの貴重な時間を奪ってはいけない。 言うべきことがあれば、それらはすべて簡潔に言うべきなのである。 ● 会話の知恵4 礼儀正しく断る 上手な断り方は非常に重要な技術だ。いつでも全員を満足させることはできない。時間の無駄になるだけで、何のためにもならないようなことは敬遠しよう。 そのためには、まず礼儀にかなった言い方を身につける必要がある。始終拒否していてはその効果も薄れ、後味を悪くすることになる。