17世紀の哲学者が教える、会話で言いたいことが伝わる人と伝わらない人の違いとは?
時にはていねいに断ることは、いつも生半可に同意するよりもいい。 ただし、きっぱりと完全に断ってはいけない。上司には敬意を払うべきだし、断る中にも望みの余地を残してあたりを和らげるのだ。 同意の代わりに礼儀正しい態度とていねいな言葉で自分の真意をまちがいなく伝えよう。「承諾」も「拒否」も口にするのは簡単だが、しかしその伝え方をもっとよく考慮するべきだ。 ● 会話の知恵5 真面目さを失わない 機知や冗談は限度を超えてしまうと、言った人間が笑い者になる。控えめに賢く使えば笑われずにすむのに。生真面目な人のほうが、冗談ばかり言う人よりも常に高い評価を得るものだ。冗談ばかり言っていると、うそつきと思われるかもしれない。話している内容のどれが本当なのか、聞いているほうはまったく確信が持てないからだ。 自分の意見は、真面目に考えた上でのものだと人にわかるようにしよう。その場かぎりのごまかしでけむに巻いてはいけない。からかってばかりいては嫌がられる。皮肉屋と評されるより、冷静で思慮深い人と評価されるほうがいい。 ユーモアは時と場所を選ぶ。それ以外はいつも真面目でいること。
バルタザール・グラシアン/齋藤慎子