アメリカのインフレにいよいよ「終わり」が見えてきた
原油価格の高騰が世界経済に影響している(編集部撮影)
3月8日掲載の拙稿 で、「原油価格の高騰もそろそろピークアウトするだろう」と述べた。代表的な指標であるWTI原油先物が取引時間中の高値(130.50ドル)をつけたのが3月7日、終値ベースの高値(123.70ドル)が3月8日だった。自画自賛で恐縮だが、まさに”ドンピシャ”のタイミングだった。原油価格のピークアウトを見込んだ理由については次回に述べると書いたので、約束どおりその理由を述べよう。 1つ目の理由は、先物カーブが異常なプライシングになっていたからだ。先物価格は通常、先物の期限が満了する「限月」が先のもののほうが価格が高い「コンタンゴ」という状態だが、強烈に需要が強いと限月が近い(期近な)もののほうがが価格が高い「バックワーデーション」になることがある。 証券先物などではバックワーデーションはあまり問題にならないが、原油の場合は保管コストなどがかかるので、コンタンゴではないことが異常事態だ。ピークアウト直前では期近が4ドルも高かった。 2008年のリーマンショック前、WTIが140ドル台をつけたときでさえ、期近のプレミアムは2ドルだったので、その倍のバックワーデーション幅というのは異常。明らかにオーバーシュートだと判断した。
本文:2,131文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
広木 隆