“壊し”続けたトランプ大統領、2018年の政権はどうなるか
熱烈支持層を離したくない2つの理由
2018年もトランプ大統領はさらに既存の政治を壊し続けるであろう。というのも、鉄板ともいわれる熱烈な支持者を離さないための動きは、トランプ氏にとっては、(これまでの政治の基準から見れば)破天荒な政策の実行に対する評価以上の大きな意味があるためだ。 まず、ロシア疑惑に対する「弾劾対策」につながる。弾劾は下院から始まる。現在、下院では共和党が46もの議席をリードしている(2017年12月末現在。欠員は3)ため、共和党議員の判断がまずは注目される。今、共和党下院議員の頭にあるのは、全員が改選される11月の中間選挙である。共和党支持者内のトランプ氏への支持が圧倒的であるため、大統領に反逆しないのが得策である。モラー検察官の捜査はようやく本格化してきたが、今のところ、下院のほうでの弾劾の動きは全くと言っていいほど見えない。 さらに、熱烈な支持層を固めることは「中間選挙対策」となる。中間選挙では大統領の政党が議席を失うのが「方程式」であり、今年の選挙は共和党にとって大きな逆風が吹いている。ただ、中間選挙の投票率は約4割(2014年は37%、2010年は41%)であり、支持層をどれだけ投票所に向かわすことができるかが鍵となる。トランプ氏への支持が揺るがなければ、それだけ共和党が有利になるのはいうまでもない。そもそも近年の下院議員の選挙では現職の再選率は9割を超えている。これは知名度がかなり左右するためであるといわれている。40台後半の議席の差があれば、共和党が多数派を確保できる可能性もかなりある。中間選挙で下院さえ共和党の多数派を確保しておけば、トランプ大統領にとって弾劾手続き開始をさらに先延ばすことができる。 弾劾が始まった場合、下院での過半数の賛成で上院に訴追する形となる。現在、上院の方も共和党が多数派を占めているが、51対49(無党派2は民主党と統一会派)と僅差であり、中間選挙の結果で民主党が多数派を奪還する可能性はかなりある。たた、上院100議席のうち、今年は改選33だが、そのうち、共和党の現職議員で改選となるのは、たまたま8だけとなっており、その点で共和党は有利である。弾劾の訴追がなされた場合、上院では3分の2が賛成しなければならない。過去の歴史で一度も大統領の弾劾成立はないほどハードルは高い。 むしろ、モラー特別検察官の捜査の進展次第で明らかな不正が出たとすれば、トランプ氏が嫌気をさして大統領を辞任してしまう可能性の方がまだあるといえる。もちろん、史上最高齢で大統領に就任したのがトランプ氏であるため、健康などの理由での辞任もゼロではない。