“壊し”続けたトランプ大統領、2018年の政権はどうなるか
さらに“壊し”続ける2018年
熱烈な支持層を固めるため、2018年のトランプ大統領は既存の政治をさらに「壊し」続けるだろう。 就任当日の2017年1月20日の大統領令で道筋を提示した「オバマケア」改廃は、4度議会で廃案になったものの、さらに粘り強く議会に訴えていくようである。さらには「Drain the Swamp(腐敗の一層)」との掛け声での公務員の大幅削減なども少しずつ進みつつある。 また、メキシコ国境の壁を含む、インフラ投資政策が2018年の大きな争点となる。インフラ投資政策で貧困地域などを含むことでリベラル層を切り崩すことができるかもしれない。ただ、トランプ大統領の今年の政策は、まずは自分を支持する3割の国民を重視し、自分を敵対する3割を切り捨てようとするのではないだろうか。 外交に関しては、どうしても外的な要因に合わせて対応していかないといけない部分が大きい。例えば北朝鮮への対応の場合、これまでの経済制裁の効果がどれだけ効いてきたのかという判断もあるだろう。また、中国がどこまで本気で原油輸出を規制するかなどの動きで大きく変わっていく。 ただ、北朝鮮については現在、アメリカ国内では相異なる2つの動きがある。この2つとは北朝鮮の「核容認・黙認」論と、核とICBM開発を辞めさせるための限定攻撃を含む「先制攻撃」支持であり、どちらも日本や韓国などの近隣諸国にとっては、良い動きではない。 何といっても、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を既に完成させているか、あるいはそうではないのかという判断も大きい。もし完成し、反撃能力を持ったとすれば、アメリカとしては攻撃しにくく、北朝鮮の核容認・黙認論も出てくるかもしれない。一方でオバマ前政権の「戦略的忍耐」ではあり得なかった「最大限の圧力」も最後まで捨てることはないだろう。 北朝鮮状況が緊迫する中、もう一つの大きな外交的な課題であるイランに対しては、核合意に対するトランプ政権の疑念がより深くなっている。トランプ大統領は選挙での公約に従って、昨年10月にイラン核合意を「認めない」という決定をしたが、その対処は議会に丸投げした。議会は全く何も対応しなかったため、核合意はそのまま続いている。そもそも核合意については、アメリカ世論が反対する中、オバマ前政権が進めた経緯もあるため、「壊し屋」としては合意を壊したいというのがそもそもの行動原理にあるようだ。ただ、核合意以上の解決策もなかなか見つからない中、紛争の可能性も示唆する動きも出てきた。