海外メディアはドーハ世陸の酷暑マラソンを強烈批判「修羅場と化す」「健康に懸念」
ドーハ世界陸上の女子マラソンが、暑さ対策で異例の午後23時59分スタートで開催されたが、暑さと湿度にやられ参加68人中28人が途中棄権するという異常なレースとなった。スタート時の気温は32度で湿度74%。優勝したチェプンゲティッチ(ケニア)のタイム2時間32分43秒は、自己ベストを大きく下回り、大会歴代最遅記録。日本選手は谷本観月(24、天満屋)が2時間39分9秒で7位入賞を果たした。海外メディアは、酷暑の中で敢行された前代未聞の混乱レースを批判的に報じた。 英国のデイリー・テレグラフ紙は、「世界陸上の女子マラソンが大混乱。上昇したドーハの温度の真っただ中で、40%以上の選手が棄権」との見出しを取り、「複数選手が苦痛で倒れこむというショッキングな場面が連続した。うだるような暑さが原因で、女子マラソンの半数近くの選手がゴールできず、ドーハ世界陸上は、土曜日朝の早い時間に修羅場と化した」と報じた。 記事は、「競技は耐えられないほど厳しい暑さとなる日中帯を避けて真夜中にスタートしたが、気温は、まだ30度を超え、湿度は80%を切ることはなく、競技者たちからエネルギーを吸い取っていった」と厳しい気候だったことを説明。 さらに「その場しのぎの医療施設が、ゴールラインの隣に用意され、コース上で人が倒れるたび、選手たちは担架で、そこに運び込まれた。レースをスタートした68走者のうち、ゴールラインを通過したのは、わずか40人だけ。すべての選手が頭からつま先まで汗と水でびしょ濡れだった」と修羅場と化したレースの様子を描写した。 6位でゴールした米国のロベルタ・グロナーは、「これまで走ったマラソンで絶対に一番過酷だった」と同紙にコメント。41歳で3人の子供を持つグロナーは、「カギはゴールすることと自分自身を傷めないことだった。ただ頻繁に水を飲んで自分に水をかけ続けた。自分の水ボトルを手に持って、給水所に来たら彼らが持つ水を渡してもらった」と続けた。 記事は最後に、「男子、女子の50キロ競歩は今夜の午後11時半スタートで、男子マラソンは、来週の夜中にスタートする。残りの長距離競技で、選手の健康に対する大きな懸念が生まれている」と問題提起している。