長野県松本市出身の紀行作家・シェルパ斉藤さんが山小屋滞在記を発刊
長野県松本市出身の紀行作家・シェルパ斉藤(本名・斉藤政喜)さん(63)=山梨県北杜市=の新刊『シェルパ斉藤の山小屋24時間滞在記』が17日、山と渓谷社から発売された。北海道から九州まで全国の山小屋の中から著者が丸一日過ごした145軒の魅力を詰め込んだ1冊となっている。 斉藤さんが山岳雑誌『PEAKS』(ピークス)で、平成22(2010)年から昨年まで連載した記事を大幅に修正し再構成した。▽八ケ岳▽奥秩父▽全国▽日本アルプス―の4編から成る。松本市や安曇野市など中信地区の山小屋も数多く紹介している。 1軒に24時間滞在して山小屋の主人やスタッフと会話を重ねた斉藤さんが、現場で働く人たちの人柄や苦労に触れつつ、小屋の歴史から食事、特徴まで詳細に記した。コンビを組んだイラストレーター・神田めぐみさん=神奈川県大磯町=が小屋の細部まで立体的に描いているのも特徴だ。カラー刷りで構造や間取りが分かりやすい。地形や風土に適した工夫や知恵にも目を向け、自らの手で八ケ岳山麓に家を建てた斉藤さんならではの視点も盛り込まれている。文章とイラストが相まって、現地に行かなくても山小屋1軒1軒の温かな雰囲気が伝わってくる。 斉藤さんは「山小屋は登山のための単なる宿泊施設ではなく、究極の旅の宿」と強調。「地元の人は日帰りできるからなかなか山小屋は利用しない。本を読んだ人が興味をもち、出かけてくれたらうれしい」と話している。 A5判並製、312ページ。定価2750円。
市民タイムス